「福祉用具専門相談員の仕事はこの先なくならない?」「福祉用具専門相談院が取るべき資格や、キャリアアップのためにすべきことは?」と疑問に思っていませんか。
福祉用具専門相談員に転職を考えていても、将来性や需要が見えてこないことには、転職活動に積極的になれないこともあるでしょう。
本記事では、福祉用具専門相談員の将来性や需要が高まっている理由と、キャリアアップに役立つ資格を解説します。
また、福祉用具専門相談員ならではのスキルアップ方法も合わせて紹介します。
福祉用具専門相談員の将来性や需要に対する悩みを解決して、同職への転職を考えてみてはいかがでしょうか。
目次
福祉用具専門相談員の将来性は?
福祉用具専門相談員の将来性は、日本における高齢化の進行や、働き口の増加により高まっています。
ここからは、福祉用具専門相談員の将来性や需要を詳細に解説します。
高齢化が進む現代では需要が高まる
内閣府が発表する令和4年版高齢社会白書を参考にすると、日本国内で65歳以上の高齢者が占める割合は、昭和25年時点で4.9%だったのに対し、令和2年では28.6%まで上昇しています。
高齢化の進行により、身体機能が低下したり身体障害が生じたりする人も増加します。
それにともない福祉用具を必要とする人も増えるため、福祉用具専門相談員の需要も高まるでしょう。
令和4年版高齢社会白書を参考にすると、予想される高齢者増加数は次のとおりです。
65歳〜74歳以上の高齢者数 | 75歳以上の高齢者 | 高齢化率 | |
令和3年 | 1,754万人 | 1,867万人 | 28.9% |
令和47年 | 1,133万人 | 2,248万人 | 38.4% |
令和47年には2.6人に一人が65歳以上となり、現役世代1.3人で一人の65歳以上の人を支える時代がくるといわれています。
高齢者が増えて介護を担える人が減る現代では、高齢者の自立した生活を効率良く支える必要があります。
高齢者に最適な福祉用具を提供する、福祉用具専門相談員の需要は高まると推測できるでしょう。
また、福祉用具専門相談員は、需要が高まる一方できつい仕事ともいわれています。
福祉用具専門相談員がきつい仕事と言われる理由を知りたい方は、こちらの記事を読んでみましょう。
働き口も豊富に存在し将来性がある
福祉用具専門相談員の代表的な勤務先としては、福祉用具貸与事業所・特定福祉用具販売事業所が挙げられます。
福祉用具貸与販売事業所には、2名以上の福祉用具専門相談を配置する義務があります。
福祉用具専門相談員の働き口の例を挙げると、次のとおりです。
- 福祉用具貸与事業所・特定福祉用具販売事業所
- 福祉用具住宅改修事業所
- 介護福祉用品売り場
- 生活用品販売店
- ドラッグストア
- 福祉用具メーカー
福祉用具専門相談員の働き口となる職場は多岐にわたり、厚生労働省の職業情報提供サイトを参考にすると、有効求人倍率は4.18倍と高いです。
また、ハローワークのインターネットサービスで福祉用具専門相談員の求人を検索すると、1,000件近く(令和4年9月現在)の検索結果が見つかります。
有効求人倍率や求人数などの数値からも、福祉用具専門相談員の働き口は豊富にあり、将来性や需要があると判断できるでしょう。
需要を高めるにはスキルアップが必要
福祉用具専門相談員として活躍していくには、福祉用具専門相談員資格の取得に満足することなく、積極的にスキルアップを行い、自分自身の需要を高める必要があります。
福祉用具専門相談員の資格だけで活躍している人は多くなく、その他の資格も合わせて取得しているケースが多々あるためです。
たとえば、介護福祉士やケアマネージャーの資格を取得して介護職と兼任したり、より専門性を高めるために福祉用具プランナーや福祉用具選定士を取得したりといったケースがよくみられます。
専門資格にとどまらず、介護・福祉に関連する資格を並行して取得し、スキルアップを行いながら、需要を高めることが必要でしょう。
福祉用具専門相談員のキャリアアップのために取得したい資格
福祉用具専門相談員には、キャリアアップのために取得が推奨される資格があります。
おすすめの資格と、取得により得られるメリットを一覧にまとめました。
資格名 | 取得すると得られるメリット |
介護福祉士 | 介護職との兼務ができる 転職が有利になり、資格手当も期待できる |
ケアマネージャー | キャリアチェンジを視野に入れられる 福祉用具の専門知識や提案経験のあるケアマネージャーとして重宝される |
福祉用具プランナー | 福祉用具に関わる専門性を高められる 転職で有利となる |
福祉住環境コーディネーター | 建築業界での活躍につながる |
福祉用具選定士 | 福祉用具に関わる専門性を高められる |
ここからは、福祉用具専門相談員のキャリアアップに役立つ資格を詳しく解説します。
福祉用具専門相談員資格の取得にかかる難易度を知りたい方は、こちらの記事を参考にしましょう。
介護福祉士
介護福祉士は、利用者の食事・排泄・入浴などの介助や、ご家族の相談対応などを行う職種です。
福祉用具専門相談員と介護職は兼務している方も多く、介護福祉士の資格を取得していれば、介護現場でも活躍できます。
国家資格でもあるため信頼性があり、転職の際に有利となる場合や、資格手当が期待できる場合もあります。
また、福祉用具専門相談員と介護福祉士の実務経験を積み、ケアマネージャーにキャリアチェンジするのも良いでしょう。
ケアマネージャー
ケアマネージャーとは、介護が必要な方に対してケアプランを作成したり、サービス事業所と要介護者の間でサービス内容の調整をしたりする職種です。
ケアマネージャーの資格を取得すればキャリアチェンジも可能であり、福祉用具専門相談員の知識や経験のあるケアマネージャーとして重宝されます。
また、福祉用具専門相談員の資格を持っているケアマネージャーは、転職時に有利である場合もあるでしょう。
福祉用具プランナー
福祉用具プランナーとは、福祉用具貸与事業所・特定福祉用具販売事業所において、福祉用具専門相談員として、2年以上実務を経験した人が受験できる民間資格です。
福祉用具専門相談員の資格のみを持つ人よりも、さらに専門的な知識や技術を取得している証明となります。
福祉住環境コーディネーター
福祉住環境コーディネーターは高齢者や障がいのある方に対して、より住みやすい住環境を提案する資格です。
住環境に関する知識と福祉用具の知識の両方を持っていれば、仕事の幅を広げられ利用者満足度も高められます。
住宅リフォーム業者など、建築業界で活躍したいと考えている方におすすめです。
福祉用具選定士
福祉用具選定士は、福祉用具専門相談員の資質を高めるために創設された資格です。
取得すれば、利用者やケアマネージャーに対して、より適切な福祉用具の選定や利用のアドバイスができます。
取得するには、福祉用具専門相談員の資格を取得したうえで、福祉用具専門相談の実務経験を2年以上積む必要があります。
福祉用具専門相談員として専門性を高めたい方におすすめの資格です。
福祉用具専門相談員のスキルアップ方法
福祉用具専門相談員には、全国福祉用具専門相談員協会が独自に行う、研修ポイント制度があります。
研修ポイント制度は、福祉用具専門相談員が研修に参加したことをポイントとして換算し公表することで、「質の高い福祉用具専門相談員である」ということを証明できるものです。
研修認証委員会で審査・認証された研修がポイントの付与対象となっており、研修受講後に全国福祉用具専門相談員協会のホームページからポイント申請ができます。
申請後、全国福祉用具専門相談員協会のホームページにて、以下の内容が公開されます。
- 総合ポイント
- 全国順位
- 都道府県別順位
- 勤務先名
- 勤務先電話番号
- 勤務先のサービス内容
研修ポイント制度を利用すれば、福祉用具専門相談員としてのスキルアップに取り組んでいることを証明でき、キャリア形成につながるでしょう。
資格取得やスキルアップを図り福祉用具専門相談員の将来性を高めよう
福祉用具専門相談員の需要と将来性は、日本における高齢化の進行にともなって今後も高まることが予想できます。
福祉用具専門相談員への転職を、候補の一つにしても良いでしょう。
しかし、社会の流れによって将来性が高まるからといって、スキルアップを怠ることは勧められません。
今回紹介したキャリアアップに役立つおすすめの資格や、スキルアップ方法を参考にして自身の価値を向上させ、着実に将来性と需要を高めていきましょう。