臨床検査技師は、医療機関で臨床検査を行うエキスパートです。
名称を聞いたことがあっても、仕事内容を知らない人も多いでしょう。
また、臨床検査技師になりたいけれど、なる方法がよくわからないと諦めている人もいるかもしれません。
臨床検査技師になるには、国家資格を取得する必要があります。
この記事では、臨床検査技師になるにはどうしたら良いのか、ルートや国家試験の受験資格、難易度などについて詳しく解説します。
臨床検査技師の仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
臨床検査技師になるには?
ここではまず、臨床検査技師になるにはどうしたら良いのかを見ていきます。
以下の4つについて説明するので、参考にしてください。
- 臨床検査技師になるにはどんなルートがある?
- 臨床検査技師国家試験の受験資格
- 臨床検査技師国家試験の難易度
- 臨床検査技師の年収
臨床検査技師になるにはどんなルートがある?
出典:臨床検査技師 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
臨床検査技師になるには、必要な知識や技能が学べて、国家試験の受験資格も得られる大学または専門学校に進学するのが一般的なルートです。
ここでは、以下の3 つのルートを紹介します。
- 大学からのルート
- 高校卒業からの最短ルート
- 社会人から臨床検査技師になるルート
大学からのルート
大学からのルートで臨床検査技師になるには、卒業後に臨床検査技師国家試験を受けて合格する必要があります。
臨床検査技師養成課程を修了または医学部や歯学部を修了すれば、試験を受けることが可能です。
獣医学部や薬学部、保健衛生学部を修了した人が国家試験を受験したい場合は、臨床検査技師養成校で必要科目を取得しなければなりません。
必要科目とは以下の6つです。
- 医用工学概論
- 臨床検査総論
- 臨床生理学
- 臨床化学
- 放射性同位元素検査技術学
- 医療安全管理学
どのような大学がおすすめなのかは、次のページで紹介しています。
ぜひ参考にしてください。
高校卒業からの最短ルート
高校からの最短ルートは、高校卒業後、3年制の専門学校または短大などの厚生労働大臣指定養成所を卒業し、臨床検査技師国家試験に合格する方法です。
早く臨床検査技師として働きたい方は、このルートを選ぶのが効率的だといえるでしょう。
社会人から臨床検査技師になるルート
すでに社会人として働いている人が、臨床検査技師になりたいと思うケースもあるでしょう。
臨床検査技師は、社会人からもめざすことができます。
社会人から臨床検査技師になるには、高校生と同様に臨床検査技師の資格取得をめざせる大学・専門学校に通うのが一般的なルートです。
とはいえ、働きながら学校に通うのは難しい人もいるでしょう。
昼間に仕事がある場合は、専門学校の夜間部で学ぶ方法もあります。
また、新たに大学や専門学校で学ばなくても、臨床検査技師国家試験の受験資格が与えられる人もいます。
それは、厚生労働省が定める臨床検査技師国家試験の受験資格を持つ方です。
いわゆる医師や歯科医師、臨床検査技師の必要科目を履修した獣医師や薬剤師などが当てはまります。
当てはまる場合は臨床検査技師国家試験に合格することで、臨床検査技師になることができます。
臨床検査技師国家試験の受験資格
臨床検査技師国家試験の受験資格は、厚生労働省により定められています。最も一般的なのは、臨床検査技師の養成課程がある大学や専門学校で学ぶルートです。
受験資格(一部抜粋、要約)
- 文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した臨床検査技師養成所において、3年以上臨床検査技師等に関する法律第2条に規定する検査に必要な知識および技能を修得したもの
- 大学などで医学または歯学の正規の課程を修めて卒業したもの(卒業見込みを含む)
- 医師もしくは歯科医師(外国で免許を受けたものを含む)
受験資格の詳細は、厚生労働省のサイト(臨床検査技師国家試験の施行)でご確認ください。
臨床検査技師国家試験の難易度
このパートでは、臨床検査技師国家試験の合格率と受験資格を解説します。
年に一度だけ実施される臨床検査技師国家試験の第63回(2017年)から第67回(2021年)までの合格率は以下のとおりです。
回(年) | 合格率(%) | 受験者数(人) | 合格者数(人) |
第63回(2017年) (うち新卒者) |
78.7 89.9 |
4,739 3,870 |
3,729 3,481 |
第64回(2018年) (うち新卒者) |
79.3 90.5 |
4,829 3,948 |
3,828 3,572 |
第65回(2019年) (うち新卒者) |
75.2 86.5 |
4,817 4,002 |
3,620 3,462 |
第66回(2020年) (うち新卒者) |
71.5 83.1 |
4,854 3,940 |
3,472 3,273 |
第67回(2021年) (うち新卒者) |
80.2 91.6 |
5,115 3,947 |
4,101 3,614 |
※各回の厚生労働省発表データ(臨床検査技師国家試験の合格発表について)をもとに作成
合格率には幅がありますが、ここ数年は70〜80%で推移しています。
新卒者に限定した合格率は80〜90%であり、全体の合格率よりもかなり高い水準です。
臨床検査技師国家試験の難易度をより詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。
臨床検査技師の年収
令和4年度賃金構造基本統計調査によると、臨床検査技師全体の平均年収は508.9万円です。
令和3年賃金構造基本統計調査では全国平均年収が496.5万円となっているため、1年間で上昇したことが見受けられます。
年収は年齢や性別によっても差が見られます。
臨床検査技師の年収については次のページで詳しく紹介しているので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
臨床検査技師を名乗るために必要な資格
臨床検査技師になるには、臨床検査技師の国家資格に合格する必要がありますが、臨床検査技師とは名称独占資格にすぎません。
名称独占資格とは、その資格を持っている人がその名称を名乗ることができる資格です。
資格を持っている人だけが仕事を行うことができる業務独占資格ではないため、検査業務は臨床検査技師資格がない人でも行えます。
したがって、臨床検査技師と同様の業務をしていても、資格がない場合は臨床検査技師を名乗ることはできません。
無資格で臨床検査技師を名乗ると、処罰の対象になることがあるので注意しましょう。
<外部リンク|埼玉県臨床検査技師会>
必要な資格を取得して臨床検査技師をめざそう
臨床検査技師と同様の業務を行っていたとしても、資格がない限り臨床検査技師を名乗ることはできません。
臨床検査技師になりたい場合は、国家試験に受かる必要があります。
臨床検査技師になるにはいくつかのルートがありますが、一から資格を取得するには少なくとも3年の時間と費用がかかります。
しかし、国家試験の合格率は8割前後と高いため、試験自体はそれほど難しくないといえるでしょう。
臨床検査技師になるという強い意志を持ち、必要な資格を取得すれば、なれる可能性の高い仕事です。
臨床検査技師の仕事内容については、次のページでより詳しく紹介しています。
知りたい方はぜひご覧ください。