助産師の仕事に関心を持っている人や助産師をめざしている人のなかには、自分が助産師に向いているかどうか自信がない人もいるかもしれません。
助産師について詳しく知らないと、自分が助産師をめざすべきなのか、助産師以外の道を探したほうが良いのか、判断に迷うこともあるでしょう。
助産師には、どのような性格の人が向いているのでしょうか。
この記事では、助産師に向いている人と向いていない人の特徴を解説します。
また、助産師の仕事で大切なことや助産師をめざす際に知っておきたいこともまとめました。
目次
助産師に向いている人の特徴3つ
以下には、助産師に向いている性格をご紹介します。
助産師に向いている人の特徴は以下の3つです。
- 責任感があり、物事に最後まで諦めずに取り組める人
- 協調性やコミュニケーション力がある人
- 人の世話や人と触れ合うことが好きな人
一つずつ見ていきましょう。
責任感があり、物事に最後まで諦めずに取り組める人
どのような仕事も責任を持って取り組むべきですが、命を預かる助産師には特に強い責任感が求められます。
助産師は正常分娩であれば医師の指示なく助産行為を行えるため、分娩介助のリーダーとして出産に関わることもよくあります。
知識と技術を総動員し、赤ちゃんとお母さんを安全な出会いへと導く助産師の業務は、強い責任感がなくてはなりません。
また、助産師になるためには看護師資格と助産師資格の両方を取得しなければならず、長い道のりとなります。
平成30年医師会立 助産師・看護師准看護師学校養成所調査によると、助産師課程の倍率は約3倍です。
助産師の勉強をする学校に入学するために、しっかりと受験勉強をする必要があります。
受験を勝ち抜き、養成所に入学したあとも、国家試験のために膨大な内容を習得しなければならず、諦めずに最後まで勉強や実習に取り組める精神力が必要です。
協調性やコミュニケーション力がある人
助産師は患者さんやご家族だけでなく、医師や看護師など多くの人と関わります。
そのため、協調性やコミュニケーション力が必要不可欠です。
どの仕事にもいえることですが、特に出産はチームプレーが求められるため、連絡や相談、報告を正しく行う必要があります。
医師や看護師とうまく連携できない場合、チームがスムーズに機能せず、仕事に支障をきたすこともあります。
また、コミュニケーションが苦手だと患者さんにうまく寄り添えず、その不安を解消するのが難しいケースも出てくるかもしれません。
人の世話や人と触れ合うことが好きな人
助産師は妊産婦と新生児のお世話をします。
人の世話が好きで、苦痛を感じずに行えることが大切です。
出産時には妊婦に寄り添って心身のサポートをしますが、分娩介助をしたら終わりではなく、産後には新生児のお世話が待っています。
さらに、母乳指導や母体指導などを担うため、産婦さんのお世話も続くでしょう。
出産時には腰をさすったり、産後にもマッサージをしたりと身体接触の機会も多いので、人と触れ合うことが好きな人でないとストレスを感じる場合があります。
助産師に向いていない人の特徴4つ
助産師に向いている人だけではなく、向いていない人の特徴も紹介します。
助産師に向いていない人の性格は、以下の4つです。
- 決断力がなく、無責任な人
- 悲しいことをいつまでも引きずってしまう人
- 赤ちゃんが好きではない人
- 産前産後のケアに興味がない人
決断力がなく、無責任な人
助産師は臨機応変に物事にあたり、都度正しい判断を下しながら業務を遂行する必要があります。
赤ちゃんとお母さんの命がかかっているため、判断できずに状況を悪くするような事態は望ましくありません。
自分の意志で物事を判断するには、知識と技術に加え、勇気が必要です。
勇気を持って判断する強さを持っていない人は、助産師に向いているとはいえません。
また、無責任な人も助産師には向いていません。
助産師は正常分娩の場合は医師の指示なく助産行為を行えるので、リーダーとして現場を率いて分娩介助を行うこともあります。
自分を守ることばかりに重きを置いて責任逃れをするような人は、助産師として正しく対応することは難しいでしょう。
悲しいことをいつまでも引きずってしまう人
助産師は赤ちゃんの誕生など多くの幸せに関われますが、ときには悲しいケースに立ち会わなければなりません。
妊娠や出産では流産や死産などが起こる場合もあり、都度助産師も対応する必要があるためです。
また、中絶などに関わることもあり、やりきれない気持ちになるケースもあります。
助産師は患者さんの悲しみに寄り添いますが、自分まで一緒に落ち込んでいては仕事になりません。
気持ちを切り替えられず、精神的に弱い人は助産師に向いていないといえるでしょう。
赤ちゃんが好きではない人
赤ちゃんが好きではない人も、助産師には向いていません。
助産師の仕事は妊産婦のケアだけではなく、新生児のお世話も含まれます。
状況によっては、赤ちゃんを長時間抱っこするときもあります。
赤ちゃんは頻繁に泣くため、赤ちゃんが好きではないと泣き声を苦痛に感じるかもしれません。
助産師は分娩で赤ちゃんを取り上げるだけではなく、産後は母乳指導などもあり、退院まで赤ちゃんと深く関わる必要があります。
赤ちゃんが好きではない人には、助産師は向いていないでしょう。
産前産後のケアに興味がない人
助産師の仕事といえば出産をまず思い浮かべるかもしれませんが、産前産後にも仕事はあり、内容も多岐にわたります。
妊娠期には妊婦健診、産後には健康指導や乳房ケア、母乳指導などを行います。
分娩だけではなく、出産前後のサポートも多い仕事なので、お産にしか興味が持てない人には向いていません。
また、助産師になるために必要な勉強は、基礎助産学、助産診断・技術学、地域母子保健、助産管理、学内実習など幅広くあります。
産前産後も含めて広く興味が持てないなら、勉強もストレスになる場合があります。
助産師の仕事をするうえで大切なこと3つ
助産師の仕事をするうえで念頭に置きたい大切なことは、以下の3つです。
たくさんの人の話を聞き、自分の考えで決めつけない
助産師には自分で判断するよう求められますが、先輩助産師や医師、看護師らとコミュニケーションをとって、正しい情報を共有していくことも大切です。
他者との対話をきっかけに、自分の間違いや偏った考え方に気付く場合もあります。
出産の流れは人それぞれなので、多くの出産を見てきた人の言葉は参考になるでしょう。
患者さんの気持ちだけではなく、まわりの人のことを理解して受け入れる
助産師には患者さんの気持ちを一番に考えることが求められますが、それだけでは不十分です。
患者さんだけではなく、ご家族などの気持ちや意見を理解することも大切です。
患者さんが力を発揮できるように見守り、助ける意識を持つ
助産師は、妊婦さんに赤ちゃんを産ませてあげるのではなく、母子を助ける存在です。
助産師と妊婦さんの関係は、信頼で成り立っています。
分娩の際に、産ませてあげると考えている助産師を、妊婦さんは信頼できるでしょうか。
主役はあくまでお母さんと赤ちゃん、そしてご家族です。
助産師は裏方に徹し、患者さんが力を発揮できるようにサポートします。
助産師をめざすなら知っておきたい3つのこと
助産師をめざすなら、ぜひ知っておいてほしいことが3つあります。
- 助産師の仕事を理解しておく
- 助産師の給料を知っておく
- 助産師になるためにはどうすれば良いかを知っておく
助産師の仕事を理解しておく
助産師は、産前・出産・産後の母子に関わり、保健指導などを行う専門職です。
分娩介助のほか、妊婦健診や新生児健診、乳房ケア、授乳指導などを行いながら、母子をサポートします。
他にも、助産師は不妊治療や育児指導、思春期の性に関わる相談などにも関わり、その仕事内容は多岐にわたります。
助産師は正常出産の場合であれば、医師の指示なく分娩介助をできるのが特徴です。
また、助産師は開業権を持っているため、独立して助産院を開業できます。
助産師の給料を知っておく
助産師をめざすなら知っておきたいのが給与の目安です。
厚生労働省によると、助産師の平均年収は570万円です。
同じ医療職である看護師の平均年収が約492万円で、看護師よりも助産師の給料のほうが高い傾向にあります。
助産師は看護師資格と助産師資格の両方を取得しなければならず、 なるために時間と労力がかかります。
そのため、看護師よりも年収が高い傾向にあるのです。
助産師になるためにはどうすれば良いかを知っておく
助産師になるためには、看護師資格と助産師資格の両方を取得しなければなりません。
まず、看護師資格を取得したのち、大学や短大、大学院、助産師専門学校などで助産師養成カリキュラムを履修し、助産師国家試験に合格して助産師資格を取得する必要があります。
他に、4年制の看護大学で看護師と助産師に必要な内容を一度に学ぶ方法もありますが、助産師課程の履修には成績などの条件があり、希望する全員が助産師の勉強をできるわけではないので注意してください。
助産師に向いていると思った人は資格取得に挑戦を
助産師は、生命の誕生に立ち会えるすばらしい仕事です。
精神的や体力的にきつい面もありますが、大きなやりがいも得られます。
将来助産師になったときに、なって良かったと思えるよう、今からどのような助産師になりたいか理想像を考えてみましょう。
向き不向きを考慮しても、やはり助産師になりたいと思った人は、ぜひ資格取得に挑戦してみてください。