助産師になりたいと思っても、助産師の仕事はきついと耳にして、不安になっている人もいるかもしれません。
今後の進路を選ぶにあたり、助産師が本当にきつい仕事なのか、自分が助産師としてやっていけるのかを知りたい人もいるでしょう。
この記事では、助産師がきついといわれる理由や助産師のやりがい、助産師をきつい仕事にしない方法をご紹介します。
目次
助産師がきつい仕事といわれる5つの理由
助産師がきつい仕事といわれる理由は以下の5つとされています。
- 赤ちゃんと妊婦さんの命を預かるのが精神的にきつい
- スケジュールを調整しにくいので大変
- 助産師の仕事が満足にできなくてつらい
- 同僚や上司、妊婦さん との人間関係がうまくいかなくてつらい
- 助産師の仕事を理解されないケースがある
1.赤ちゃんと妊婦さんの命を預かるのが精神的にきつい
助産師の仕事では、出産に関わる業務が大部分を占めています。
出産は命に関わる重要なイベントであり、それに関わる助産師にはミスが許されず、重い責任を負うことになります。
ときには緊張とプレッシャーに、押し潰されそうになることもあるでしょう 。
厚生労働省の第2回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会によると、近年では母体の高齢化が進み、35歳以上での出産が全体の3割近くまで増加しています。
リスクをともなう高齢での出産が増えるなか、助産師はどのような想定外の事態にも冷静に対処することが必要です。
小さなミスも許されない緊張感のなか、助産師は精神的にきついと感じる場面が多くなる可能性があります。
2.スケジュールを調整しにくいので大変
出産はスケジュール調整できるものではなく、妊婦さんはいつ産気付くかわかりません。
また、出産前のトラブルで緊急対応しなければならないケースもあります。
そんなときは、助産師は状況に関わらず職務につかなければなりません。
また、助産師はシフト制の医療機関が多く、シフトによってはプライベートの予定や休息時間を確保しにくい場合もあります。
お産は予定どおりに終わるとは限らないため、勤務時間が伸びて残業をしなければならないこともあるかもしれません。
勤務時間が安定しないため生活リズムが狂いやすく、疲れた状態のまま次の勤務に入らなければならない場合もあります。
このように不規則な勤務の負担により、助産師の仕事がきついと感じる人もいるでしょう。
3.助産師の仕事が満足にできなくてつらい
助産師の仕事には技術や知識を要します。
特に、出産の介助には高いレベルの能力が求められるでしょう。
助産師になったばかりでは経験が不十分で、自分の思うように仕事ができない場合もあります。
しかし、新人といえども、妊婦さんから見たらプロの助産師です。
ミスをすると妊婦さんからのクレームや先輩方の注意を受けるでしょうし、自分自身も不甲斐なさを感じるかもしれません。
ミスが許されない仕事だからこそ、落ち込んでつらくなり、辞めたいと思う人もいます。
4.同僚や上司、妊婦さんとの人間関係 がうまくいかなくてつらい
助産師は妊婦さんやご家族はもちろん、同僚や上司などの医療関係者とも深く関わらなければなりません。
さまざまな状況や考え方の人と働くので、人間関係のトラブルに遭遇したり、ストレスを感じたりすることもあります。
また、助産師の仕事は激務のため、お互いに言い方がきつくなってしまい、トラブルになるケースもあるでしょう。
助産師が経験しがちな人間関係のトラブルは、以下のような理由で起こるとされています。
- 経験値の違いでストレスがたまる
- 看護師との意見の違い
- 医師の意見に従わなければならない
- 妊婦さんやご家族から信頼されない
- 女性だけの世界が合わない
助産師の仕事自体には適性があるのに、現場の人間関係が苦痛になる人もいるでしょう。
5.助産師の仕事を理解されないケースがある
助産師は産前から産後まで、妊婦さんをサポートするお産の専門家です。
しかし、出産というと産婦人科医のイメージが強く、助産師がメインでお産をサポートすることに不安を覚える人もいます。
助産師はみな助産の専門的なカリキュラムを勉強し、難しい資格試験に合格しています。
しかし、その事実はあまり知られていません。
さらに、助産師は助産師資格だけではなく看護師資格も持っているため、看護師の仕事を割り振られてしまうケースもあります。
ただでさえ激務なのに、仕事が増えてしまうことで負担がかかり、業務に不満が出てくる可能性があります。
つらいことばかりではない、助産師のやりがい
助産師はきつい仕事といわれていますが、やりがいを感じる人も多く存在しています。
ここでは、助産師のやりがいを3つご紹介します。
新しい命の誕生をお手伝いできる
助産師の仕事は、産前から産後まで長期にわたります。
なかでも一番やりがいを感じるのは、出産時ではないでしょうか。
助産師は新しい命の誕生に立ち会えるだけではなく、分娩の介助もできます。
これは資格を持った助産師のみに許される行為で、一般の看護師は分娩の介助ができません。
赤ちゃんの人生のスタートをお手伝いできるのは大変貴重な仕事ですし、何よりやりがいを感じられます。
妊婦さんや褥婦さんの生活をトータルサポートできる
助産師は出産時に活躍するイメージが強いかもしれませんが、仕事内容は多岐にわたります。
妊娠中から産後まで継続的に業務があり、ずっと母子に寄り添うため、出産時だけ仕事をするわけではありません。
妊娠中は妊婦健診、出産時にはお産の介助、産後は母乳や沐浴の指導を行います。
また、新生児訪問を行い赤ちゃんの健やかな成長を確認するのも、助産師の大切な仕事です。
助産師は妊婦さんや新米ママさんの生活を長期間トータルサポートする仕事であり、そこにやりがいを感じる人もいるでしょう。
経験を積めば助産師として独立開業できる
助産師は独立開業できる開業権 を持っています。
病院やクリニックなどに勤務するだけではなく、自ら助産所を開くことが可能です。
助産所では医師が常駐していません。
そのため、助産師が責任者になり、緊急時などは医療機関と連携して対応します 。
助産所は総合病院や一般的な産科クリニックなどとは異なり、助産師が主体となって妊婦健診やお産、産後ケアを行う、地域に密着した施設です。
助産師をきつい仕事にしないために大切なこと
助産師の仕事がきついといわれたからといって、助産師になりたいという夢を諦めたくない人もいるでしょう。
自分自身の意識によって、助産師をきつい仕事にしないようにすることが大切です。
助産師をきつい仕事にしないためのコツを4つご紹介します。
助産師1年目は仕事がきついことを覚悟する
どのような仕事でも1年目は仕事未経験であり、覚えることが多くあります。
先輩が効率的に仕事をしている様子を見ると自信がなくなり、辞めたくなることもあるかもしれません。
しかし、新人は技術的に未熟なのが当たり前です。
とはいえ、できない自分に落ち込んでいるときに、至らなさを指摘されたり怒られたりするのはきついもの。
1年目は覚えることが多く、満足に仕事ができなかったり、ミスが多くて結果が出なかったりすることもありますが、経験とともに改善していきます。
1年目はできなくて当たり前と割り切り、きついことを覚悟しておくと楽になるでしょう。
精神的につらい場面に直面することも理解しておく
助産師の仕事は元気な赤ちゃんの誕生に立ち会えることが喜びですが、なかには悲しい瞬間に立ち会わなければならないケースもあります。
幸せな瞬間に立ち会う希望を持って助産師になった場合は、現実を受け入れるのが辛いこともあるでしょう。
流産や死産、赤ちゃんに予期せぬ病気や障がいがあったとき など、精神的に辛い状況は多く存在します。
また、望まれない妊娠や中絶、虐待など、自分の力ではどうにもできないケースに直面し、無力感に苛まれる場合もあるかもしれません。
辛い状況に耐えられず、自分の力不足を感じて助産師を辞めてしまう人もいます。
難しいことですが、先にあるのは希望や幸福だけではないという覚悟を持って助産師になることも大切です。
きついときは助産師長や上司、同僚に相談する
仕事が辛いときは自分一人で抱え込まず、助産師長や上司、同僚に相談するのがおすすめです。
一人で抱え込んでも自分が動けなくなるだけで、状況改善にはつながりません。
離職を選択する前に助産師長や上司に相談すれば、業務内容やシフトが改善される可能性も出てきます。
また、同僚に相談して話を聞いてもらうだけで、それ以降の仕事をがんばれる場合もあります。
さらに、良いアドバイスをもらえるかもしれません。
ただし、余計なトラブルに巻き込まれないように、相談する相手は信頼できる人にしておきましょう。
どうしてもきついときは転職も視野に入れる
相談しても状況が変わらなかったり、相談する人がいなかったりする場合は、転職も視野に入れてみましょう。
人間関係が良くない場合、話し合いなどで一時的に改善しても、根本的な解決につながらない場合もあります。
環境や仕事内容を変えるだけで辛さが解消され、助産師としてこれからも働いていこうという意欲を取り戻せるかもしれません。
助産師の転職先は、病院やクリニック、助産所、企業、地方公共団体、看護学校など数多く存在しています。
助産師はきついけどやりがいもある素晴らしい仕事
この記事では、助産師の仕事がきついといわれる理由ややりがい、きつさを改善するためにどうしたら良いかをご紹介しました。
助産師の辛いことや大変なことを、知ることができたのではないでしょうか。
助産師の仕事がきついと感じ、辞めたいと思っている人も実際に存在します。
しかし、生命の誕生に立ち合い、サポートすることができる助産師は、やりがいのある素晴らしい仕事です。
大変なことだけではなくやりがいにも目を向け、頼られる助産師をめざしてください。