
准看護師から正看護師になるには、養成所を卒業したうえで、国家試験に合格しなければなりません。
養成所には、最短でめざせる全日制コース、働きながらめざせる定時制コース、通信制コースの3種類があります。
本記事では、正看護師になるための方法や、正看護師免許を取得することで起こる変化について解説します。
目次
准看護師から正看護師になる方法
准看護師から正看護師になる3通りのルートを、それぞれ見ていきましょう。
【2年制】最短取得できる全日制コース
看護専門学校や看護短期大学の全日制2年課程 は、 准看護師が正看護師国家試験の受験資格を最短で取得できるルートです。
1年次に人体の構造や基礎看護学などの看護を行ううえでの基礎を学び、2年次は成人や在宅、小児といった領域ごとの病院実習を中心としたカリキュラムになっていることが多い傾向です。
日中に通わなければならないため、一度職場から離れる必要がありますが、余裕を持って勉強に集中できます。
看護師になるために必要な単位を取得するには、自宅に帰ってからの毎日の復習や学校で課された課題・実習記録の提出、看護師国家試験対策の勉強など、自分自身で学習をし続ける時間を常に確保していく必要があります。
そのため、貯金や奨学金などで学費や生活費の用意ができる方にはおすすめの選択肢です。
なお、最終学歴が中学校卒業の場合は、准看護師の実務経験が3年以上必要 になります。
【3年制】働きながらめざせる定時制コース
3年制の定時制コースは、毎日平日に朝から夕方まで授業があるわけではなく、授業が無い曜日があったり、授業時間を半日にしている養成学校があったりするのが特徴です。
このコースであれば、准看護師としての仕事を続けながら、正看護師をめざすことも可能です。
ただし、働きながら通う場合、スケジュールはハードなものになります。
仕事と通学の両立に加え、課題や試験勉強にも取り組まなければなりません。
3年次となれば日中は実習に向かい、帰宅したあとは実習記録をする日々 になります。
特に実習は病院で行うため、実習日時があらかじめ決まっており、仕事などで実習を休むと必要な単位が取得できず、学校を卒業できなくなってしまいます。
そのため、休み希望などの勤務調整も含めて勤め先から理解を得ることも必要となるでしょう。
定時制コースは看護専門学校に設置されており、昼間定時制と夜間定時制があります 。
また、定時制コースも中学校卒業の場合は、准看護師としての実務経験が3年以上必要です。
【2年制】時間の融通がきく通信制コース
准看護師として実務経験が7年以上あれば、通信制の養成所で正看護師国家資格の受験資格を取得できます。
通信制コースは2年制で、看護専門学校や看護短期大学に設置されています。
登校日数は、2年間で50日以内と規定があるため、比較的余裕のあるスケジュールで仕事と通学を両立できるでしょう。
また、通信制コースには、座学は通信教材、実習は病院などで見学実習、登校による面接授業、事例検討は紙上の事例演習を行うといった特徴があります。
准看護師から正看護師になる理由は?
准看護師が正看護師になるメリットには、以下の3つがあります。
- 准看護師の教育課程だけでは不十分だった部分を補える
- 正看護師になることで働き方や待遇が変わる
- 正看護師になることで開かれるキャリアビジョン
それぞれ見ていきましょう。
准看護師の教育課程だけでは現場で不十分なことがある
日本看護協会は、准看護師の教育課程について、内容・時間ともに不十分だとしています。
現在の日本は高齢化が進み、複数の疾患が複雑に絡み合う病態の理解や地域医療連携との調整、在宅医療の提供など、看護師の自立した判断能力が求められる現場が増え、看護業務が複雑化・多様化している現状があります。
しかし、准看護師は、医師や歯科医師、看護師などの指示のもとに、患者さんに対して看護を行える基礎的知識は身につけているものの、自分自身で必要な看護を判断する能力は十分とはいえません。
そのため、日本看護協会は、これらの社会的なニーズに応え、安全で質の高い看護を提供できる看護体制を整えるために、将来的に准看護師と正看護師の一本化をめざしています。
また、准看護師が正看護師になるために奨学金制度などの進学支援も実施されているため、養成校への入学を検討している方はチェックしてみましょう。
働き方や待遇が好転しやすい
准看護師は、医師や看護師の指示を受けなければ、患者さんの療養上の世話や診療の補助などの業務が行えません。
しかし、正看護師になることで次の業務が可能になります。
- 自己判断で看護業務を行える
- ほかの看護師へ指示を出せる
- 看護計画を立案できる
- 管理職への昇進ができる
このような業務が可能になることで、目の前の患者さんの状況を客観的に判断し率先して看護を提供できるようになるため、より看護師としてのやりがいにつながるでしょう。
また、准看護師よりも正看護師のほうが、求人数が多い傾向にあります。
そのため、就職先の選択肢が増え、興味のある診療科や病院で働ける、あるいは給与面で希望の条件に合った病院で働ける、といった可能性も高まります。
実際に、厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査を参考にすると、准看護師と正看護師の待遇の差は次のとおりです。
職種 | 平均年収 | 平均月収 | 平均賞与 |
准看護師 | 407万円 | 28.7万円 | 62.7万円 |
看護師 | 499万円 | 34.4万円 | 85.5万円 |
出典:職種(小分類)、性、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|令和3年賃金構造基本統計調査|厚生労働省
キャリアビジョンが広がる
准看護師は、看護師の指示を受けなければ、患者さんに看護を提供できません。
そのため、 准看護師は役職への昇進が難しいのが現状です。
正看護師になることで、役職へのキャリアアップの道が開かれます。
さらに、正看護師の資格を取得すれば、保健師・助産師・専門看護師・認定看護師など、さまざまなスキルアップに挑戦することが可能です。
准看護師から正看護師になりキャリアと業務の選択肢を増やそう
准看護師から正看護師になるためには、専門学校や短期大学などの養成施設に通わなければなりません。
しかし、正看護師になることで待遇が良くなり、描けるキャリアの幅も大きく広がります。
医療や看護対象者が複雑化・多様化している現在では、看護師に求められる専門性も高まっています。
准看護師から正看護師への支援を利用して、正看護師をめざしてみませんか。