
看護師の専門学校は、看護師に必要な知識や技能を集中して学び、卒業することで看護師国家試験の受験資格を得られる養成施設です。
一般的に看護師の専門学校は3年制であるため、4年制の看護大学よりもはやく現場で活躍でき、学費も安く抑えられます。
本記事では、看護専門学校の特徴や、看護大学との違いを解説します。
読むことで看護専門学校の特徴を把握でき、看護大学とどちらに入学すべきかを判断する参考になりますので、ぜひこのままお読みください。
目次
看護師の専門学校の特徴
看護師の専門学校の特徴は、主に次の4つが挙げられます。
- 卒業すると看護師国家試験の受験資格を取得できる
- 看護学を中心に学ぶ
- 大学と比較すると学費が安い
- 講義や実習のスケジュールが充実している
ここでは、看護専門学校の特徴を一つずつ詳細に見ていきましょう。
1.卒業すると看護師国家試験の受験資格を取得できる
看護専門学校を卒業すれば、看護師国家試験の受験資格を取得できます。
受験資格取得後、例年2月中旬に実施される国家試験に合格すれば、看護師免許を得られます。
また、看護師国家試験の受験資格だけではなく、次のような資格も取得可能です。
- 保健師助産師学校の受験資格
- 医療専門課程の専門士称号
- 看護系大学3年次編入学受験資格
看護専門学校を卒業して看護師資格を取得すれば、助産師や保健師への道も開かれます。
2.看護学を中心に学ぶ
看護専門学校では、大学で学ぶような一般教養のカリキュラムは含まれません。
そのため、看護学を集中して学ぶことが可能です。
厚生労働省の看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインを参考にすると、看護専門学校において履修すべき教育内容と単位数は次のとおりです。
教育内容 | 単位数 | ||
基礎分野 | 科学的思考の基盤 | 14 | |
人間と生活・社会の理解 | |||
小計 | 14 | ||
専門基礎分野 | 人体の構造と機能 | 16 | |
疾病の成り立ちと回復の促進 | |||
健康支援と社会保障制度 | 6 | ||
小計 | 22 | ||
専門分野 | 基礎看護学 | 11 | |
地域・在宅看護論 | 6 | ||
成人看護学 | 6 | ||
老年看護学 | 4 | ||
小児看護学 | 4 | ||
母性看護学 | 4 | ||
精神看護学 | 4 | ||
看護の統合と実践 | 4 | ||
臨地実習23単位 | 基礎看護学 | 3 | |
地域・在宅看護論 | 2 | ||
成人看護学 | 4 | ||
老年看護学 | |||
小児看護学 | 2 | ||
母性看護学 | 2 | ||
精神看護学 | 2 | ||
看護の統合と実践 | 2 | ||
自由設定 | 6 | ||
小計 | 66 | ||
統計 | 102 |
出典:別表3看護師教育の基本的考え方、留意点等|看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン|厚生労働省
看護学の講義や臨地実習を集中して受けたい方は、専門学校を選択すると良いでしょう。
3.大学と比較すると学費が安い
看護専門学校は、看護大学と比較すると学費を安く抑えられます。
東京にある看護専門学校の学費例は次のとおりです。
学校名 | 総学費(入学費+授業料3年分+教科書代+ユニフォーム代などの合計) |
八王子市立看護専門学校 | 約102.9万円 |
東京都立広尾看護専門学校 | 約109.8万円 |
東京都立府中看護専門学校 | 約125.8万円 |
江戸川看護専門学校 | 約240万円 |
板橋中央看護専門学校 | 約255.5万円 |
大学の学費は、文部科学省の国立大学と私立大学の授業料等の推移を参考にすると、次のとおりです。
総学費(4年制大学と仮定し授業料+入学料+検定料などの合計) | |
国立大学 | 245.8万円 |
私立大学 | 358.4万円 |
以上のように、大学では250万円〜360万円程度の学費が必要であるのに対し、看護専門学校は100万円台から卒業できます。
ただし、看護専門学校のなかにも、260万円ほど学費のかかる学校があります。
入学を検討している学校の学費は、3年分を正確に計算して確認しましょう。
4.講義や実習のスケジュールが充実している
現在の看護専門学校のカリキュラムは、年間で比較すると看護大学よりも単位数が多く、内容の濃いスケジュールとなっています。
看護大学と看護専門学校の総単位数を、修学年数で単純計算すると次のとおりです。
- 4年制大学:124単位÷4年=1年間で31単位
- 3年制看護専門学校:102単位÷3年=1年間で34単位
また、看護大学は、3年次の後半から4年次にかけて実習を行います。
一方、看護専門学校は3年次の1年間に実習が集中するため、充実した実習スケジュールとなるでしょう。
日本看護協会は、現代の看護師には学校で履修する内容に加え、追加で学ぶべき教育内容があると述べています。
しかし、3年という修学年数では、これ以上の履修内容追加は不可能であるのが現状です。そのため、日本看護協会は、これからの社会や医療に対応できる看護師の育成を目的に、専門学校の4年制化をめざしています。
出典:【重点課題】看護師基礎教育の4年制化|日本看護協会|公益社団法人
どっちが良い?看護師の専門学校と看護大学の違い
看護専門学校と看護大学の特徴を比較すると次のとおりです。
学校 | 特徴 |
看護専門学校 | ● 4年制大学よりも早く卒業できる ● 大学よりも学費が比較的安い ● 看護学を集中して学べる |
看護大学 | ● 4年制であるため専門学校よりも余裕を持って修学できる ● 専門学校と比較すると学費が高くなる傾向がある ● 一般教養も学べる |
看護短期大学 | ● 準学士の称号を得られる ● 4年制大学よりも早く卒業できる |
スケジュールはタイトになりますが、集中して看護の勉強に取り組み、いち早く現場で働きたい人には看護専門学校への入学をおすすめします。
スケジュールに余裕を持ちながら、看護学だけでなく一般教養も学びたい人は、看護大学へ入学しましょう。
看護師としていち早く現場で活躍したい人は専門学校を検討してみよう
看護専門学校での3年間は、看護学を学ぶうえでは短い期間かもしれません。
しかし、講義や実習などで充実した3年間は、現場で活躍する看護師となるための礎となります。
専門知識を集中的に学び、看護師としていち早く現場で活躍したい方は、看護専門学校への入学を検討してみましょう。