看護師
【プロフィール】
小児専門病院にて小児科看護師として働いた後、訪問看護師の道へ。現在はライターとしても活動しており、看護師との両立に奮闘中。
看護師は勤務先や働き方が多様で、自分に合った条件で仕事を探しやすい職種です。
働きながら最新医療を学びたい、仕事も子育ても両立して楽しみたい、旅行しながら働きたいなど、それぞれの希望に合わせた働き方ができます。
本記事では、看護師になるための方法を解説します。
学費負担を軽減する奨学金制度や、編入学制度も紹介しています。
これから看護師をめざしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
自分に合った進路を見つけられることでしょう。
目次
看護師になるためには
看護師に必要な資格は看護師国家資格です。
国家資格を取得するには、年に一度実施される看護師国家試験に合格しなければなりません。
国家試験の受験資格を得るには、以下のようにいろいろなルートが用意されています。
中学卒業後、5年一貫課程の高等学校に通うルート
最短は、中学を卒業後に5年一貫課程を持つ高等学校に通うルートです。
高校の3年間と看護専攻科の2年間を合わせた5年間で、看護師国家試験の受験資格を取得できます。
このルートは一貫課程であり、専攻科に進級するための試験や選抜はありません。
もちろん高校3年間を修了すれば高校卒業の資格を得られ、大学などに進学することも可能です。
短大や専門学校に通うルート
短大や専門学校では、3年間で受験資格の取得が可能です。
4年制の大学より1年短い分、コストを抑えて国家試験の受験資格をめざせます。
一方、看護師になるために必要な単位を3年間という短い期間で取得するため、大学生より日々の授業は忙しくなる傾向があります。
そして、その傾向は今後さらに高まると予想されます。
なぜなら看護基礎教育内容の見直しにより、看護課程履修に必要な総単位数が引き上げられ たからです。
3年制の学校では、令和4年度からこの新たな基準が適用されたため、今後はよりタイトな履修スケジュールになるかもしれません。
4年制の大学に通うルート
大学の看護学科では、4年間で看護師になるために必要なカリキュラムを履修します。
修了すると学位が取得でき、看護師に加えて保健師や助産師の資格を同時に取得できることもあります。
学位や複数資格を有していることで、病院によっては給与面で優遇されるケースもあるでしょう。
なお、現在厚生労働省の指定を受けている看護の4年制大学の数は以下のとおりです。
| 国立 | 42校 |
| 公立 | 50校 |
| 私立 | 197校 |
私立大学の数に比べて、国立・公立大学の数は半分以下になるので、狭き門であるのが実情です。
また、専門学校や大学など、どの進路を選んだとしても、実習やレポートは避けて通れません。
地域看護・母性看護・小児看護・精神看護といったあらゆる領域を各施設で経験し、実習終了後はレポート提出も必須です。
主婦や社会人経験者が看護師になるルート
社会人や主婦が看護師になる主なルートには、以下のようなものがあります。
- 看護系の大学に進学（4年）
- 看護系の短期大学に進学（3年）
- 看護師養成所に進学（3年）
編入学制度を利用すると最短2年で看護師国家試験の受験資格を得られます。
編入学制度とは、大学や短大、専門学校を卒業後に、看護科の大学3年次もしくは2年次に編入することをいいます。
聖路加国際大学看護学部を例にとると、出願資格は大学を卒業した者となっており、短期大学や専門学校の卒業者は出願できません。
一方で、日本赤十字看護大学では、看護系の短期大学や3年課程の専門学校を卒業した者を対象に、編入学を受け入れています 。
このように編入学制度も学校によって必要な学歴が異なるため、出願資格の確認が必要です。
また社会人には、入試のハードルが下がる社会人入試制度の利用もおすすめです。
学力テストを行う一般入試と違って、面接や小論文だけで選抜します。
学校によっては一般教養の筆記試験もあります。
准看護師として働きながら看護師をめざすルート
看護学校への進学が難しい方には、准看護師として働きながら看護師をめざす方法もあります。
准看護師は2年で免許取得がめざせ、通学も全日制と半日制から選択できます。
准看護師は最短で2年制の准看護師養成所に通い、都道府県が実施する准看護師試験に合格すると資格が取得できます。
必要な履修時間が看護師よりも短く、必然的に学費も抑えることが可能です。
また、日中に授業を行う全日制と、平日の午後のみや夜間に授業を行う半日制があり、ライフスタイルに合わせてどちらかを選択できます。
もちろん働きながら資格取得をめざすこともできます。
准看護師の業務内容は、医師や看護師からの指示による診療の補助や、療養上のサポートです。
病院をはじめ、クリニックや社会福祉施設など、多様な職場で活躍できます。
看護師をめざす前に、医療業界の知見を持てることも魅力の一つでしょう。
看護師になるための費用や学費について
看護師をめざすうえで、学費がどのくらいかかるのかは気になるところでしょう。
特に、学業専念のために休職や退職される社会人ではなおのことだと思います。
ここでは、看護学校の学費や利用できる給付金、奨学金制度を解説します。
看護師になるための費用
学校によってもさまざまですが、費用の一例がこちらです。
| 国立大学（4年） | 入学金30万円、授業料50万円（年間） 4年で250万円前後 |
| 私立大学（4年） | 入学金30万円、授業料120万円（年間） 4年で500～700万円程度 |
| 短期大学（3年） | 入学金25万円、授業料60万円＋教育実習費35万円（年間） 3年で300万円前後 |
| 専門学校（3年） | 入学金20万円、授業料75万円（年間） 3年で250万円前後 |
| 5年制一貫養成学校 | 入学金15万円、授業料50～60万円（年間） 5年間で250～300万円前後 |
※学費とは別に、教材費や資格検定費、ユニホーム代などもあります
一番コストを抑えられるのは、中学卒業後に5年制の一貫養成学校に通う方法です。
私立より公立を選べば、より学費を抑えられるでしょう。
短期大学や専門学校は通う期間が3年と短いため、4年間通う必要がある大学と比較すると費用を抑えられる傾向にあります。
奨学金や社会人向け給付金制度も利用できる
日本看護協会 を始め、日本赤十字 や各地域の病院 、私立大学 などが主体 となり、看護師をめざす学生への奨学金や給付制度を充実させています。
奨学金制度
看護師をめざす学生が利用できる奨学金制度には、以下のようなものがあります。
- 日本学生支援機構によるJASSO奨学金
- 都道府県 や自治体 による看護師等修学資金貸与事業
- 各病院 による病院奨学
- 民間企業や個人が設ける民間育英団体の奨学金
奨学金は希望するすべての学生が受けられるものではなく、それぞれ一定の条件が設けられ、審査を通過しなければなりません。
一例として、日本学生支援機構のJASSO奨学金では、学力基準や収入・所得制限などの家計基準において審査が行われます。
卒業後に勤務する病院を指定される代わりに、自治体や病院の奨学金では、返済を全額免除してくれる制度もあります。
ただし、契約期間中に退職した場合は、奨学金の全額もしくは一部返還が必要となるので注意しましょう。
民間団体や企業が奨学金を設けていることもあり、大学や学校を通じて申請するのが一般的です。
社会人向け給付金制度
一度社会に出たのちに、あらためて教育機関でスキルを身につけることを希望する社会人向けには、教育訓練給付金という給付制度があります。
教育訓練給付金とは、厚生労働省が指定する施設で訓練を修了した場合に、受講費用の一部を受け取れる制度です。
申請はハローワークを通じて行い、利用するには受給要件を満たしていることが条件です。
看護師の専門実践教育訓練を受講した場合、受講費の最大70%（年間上限56万）が最長4年にわたって支給されます。
また訓練を修了した翌日から1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、受講費用の20%（上限16万）が追加で支給されます。
コストに不安がある方は、教育訓練給付金のような制度を利用するのも一つの方法です。
自分の行きたい学校が、最新の教育訓練給付金対象に入っているか確認しましょう。
看護師は学校に通って資格を取得すれば誰でもなれる
看護師になるための看護国家試験にたどり着く道のりは複数あり、必要な期間や費用もまちまちです。
大学ではコストがかかるというメリットもありますが、現在では看護師をめざす人をサポートする制度や奨学金も充実しています。
専門学校や短期大学も、それぞれメリット・デメリットがあるため、各学校の特徴を理解して自分に合った進路を選択することが大切です。
自分に合った道のりを見つけて、どのような地域でも望んだ条件で働けるスキルを手に入れましょう。
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