
理学療法士は、病気やけがによって損なわれた身体機能を回復し、日常生活に必要な「立つ」「歩く」といった基本的な動作能力を向上させる重要な仕事です。
患者さん一人ひとりに合わせてリハビリのプログラムを組む必要があり、場合によってはリハビリに対して意欲が感じられない方に対応するなど、大変なことはありますが、やりがいもたくさん感じられます。
今回は、理学療法士の仕事のやりがいや魅力、理学療法士になってよかったと感じる瞬間を職場別に紹介します。
目次
理学療法士がやりがいを感じた瞬間6選
医療従事者である理学療法士は、基本的には医療従事者全般と共通する部分で「やりがいがある」と感じることが多いようです。
今回は、理学療法士が特に仕事上やりがいを感じた瞬間として、6つのタイミングを紹介します。
サポートしていた患者さんの身体機能が回復したとき
理学療法士は、患者さんの身体能力や生活環境などを考慮し、一人ひとりに合わせたリハビリテーションのプログラムを作成します。
身体機能の回復には、患者さんによってはかなり時間がかかることがあります。
そのため、理学療法士は患者さんと一緒に、地道な努力を根気強く続けることが必要となります。
こつこつと取り組んできたリハビリの効果が表れ、日常生活に欠かせない「寝返りをする」「立つ」「歩く」といった身体機能が回復し、患者さんの笑顔を見られたときには、理学療法士は大きなやりがいを感じることができます。
しっかり作った書類が患者さんのリハビリのためになったとき
患者さん一人ひとりの体の状況は大きく違います。
そのため、理学療法士はそれぞれの患者さんに合わせたリハビリを計画し、創意工夫してさまざまな方向からアプローチする必要があります。
緻密に作ったリハビリ計画や工夫したアプローチの成果が出て、患者さんの身体機能に回復が見られたときや、できることが増えた患者さんの笑顔を目にすることができたときには、理学療法士もそれまでの疲れを忘れて喜びとやりがいを感じることでしょう。
患者さんが楽しくリハビリに取り組んでくれたとき
ケガや病気などにより、体を思いどおりに動かすことができなくなり、失望感を味わう患者さんも多くいます。
このような場合には、相手の気持ちや心の動きを細やかに察し、寄り添うことも必要です。
日常生活を取り戻すために、患者さんには将来に対する希望をもってリハビリテーションに取り組んでもらうことが重要となります。
当初は前向きになれなかった患者さんが、リハビリを続けることを通して徐々に前向きな気持ちを持てるよう導くことも、理学療法士の大切な役割です。
日々のサポートの効果が表れ、患者さんが楽しく積極的にリハビリに取り組んでくれたときには、理学療法士はそれまでの苦労が報われたと感じられることでしょう。
同じ理学療法士同士で切磋琢磨しあえたとき
リハビリテーションの現場では、常に新しい知識と技術をアップデートする必要があり、ときには同じ理学療法士同士で練習を繰り返すことも必要です。
ご高齢の方の場合は、過度なリハビリによる悪化やけがのリスクを考えながら適切なリハビリを行うことに苦労するときもあります。
そうした際、「患者さんを良くしたい」という同じ意識を持った仲間と意見を交わしながら、苦労を乗り越えていくこともあるでしょう。
理学療法士同士でともに成長し合えていると実感できたときには、理学療法士としてやりがいを感じられます。
チーム医療で一丸となって取り組めたとき
理学療法士の仕事は、医師や看護師、薬剤師、管理栄養士、介護士など多職種で協力し、チーム医療として実践していきます。個々がどんなに優秀でもそれぞれの職種が協力しなければ良い医療は提供できません。
チームが一体となり、望ましいケアができれば、やりがいにつながります。
また、患者さんをチームとともにサポートできたときには、大きな喜びを共有することができるでしょう。
患者さんや他のスタッフと楽しく話しているとき
理学療法士は、患者さんと楽しく会話しながらリハビリを進めることも大切な仕事のひとつです。
会話のなかに、患者さんの状態を把握するためのヒントが隠されていることも多いのです。
また、他のスタッフと日頃から積極的にコミュニケーションをとることにより、円滑な業務が行えることに繋がったり、患者さんについてのより詳しい情報を得られることもあります。
こうしたコミュニケーションは、他人と話をするのが好きな理学療法士にとって楽しさを感じられるものでしょう。
理学療法士は、他人とコミュニケーションをとるのが好きという人に向いている仕事といえます。
職場別|理学療法士のやりがい・魅力を感じた瞬間
理学療法士は、病院やクリニック、介護施設など幅広い現場で活躍しています。
勤務先の種類や規模などによって、理学療法士に求められる役割ややりがいも異なるのです。
以下に職場別の理学療法士の魅力とやりがいを紹介していきます。
病院
病院はスタッフが多いことから研修の制度や資格取得のサポートが充実している傾向があります。
働きはじめの理学療法士でも安心して働くことができ、他職種を含む多くの人と意見や知識を共有できるのが魅力です。
また、病床数が多いところではその分さまざまな種類の病気やけがを有している患者さんを担当することになるので、理学療法士としてのスキル向上につながり、自身の成長を実感できたときには大きなやりがいを感じるでしょう。
クリニック・診療所
クリニックでは、外来の患者さんが中心で一人の理学療法士が多くの患者さんを担当できます。
さまざまな患者さんに広く、スピーディに向き合うことで、自身のスキル向上につながることは間違いないでしょう。
さらにクリニックでは診療科が明確に分かれているので、担当する患者さんの症状もある程度絞られ、より専門性を高めることができます。
得意分野を持ち、より専門的にアプローチできるようになると、理学療法士としてのやりがいもアップします。
休日が固定されているため、オンオフもしっかりと分けて働くことができるのも魅力です。
介護施設
急性期や回復期の患者さんが多い病院と違い、介護施設は高齢者を中心とした慢性期(生活期)に関わることが多いため、一人の方に対して長くじっくり向き合えるのが特徴です。
自宅での生活復帰やその人らしい生活をめざし、ロングタームで関われるのがやりがいにつながるでしょう。
また、訪問リハビリでは、施設によっては訪問件数に応じたインセンティブが発生するという点も魅力の一つです。
児童福祉・障がい者福祉施設
児童福祉・障がい者福祉施設では、理学療法士は小学生から高校生までの子どもや、さまざまな困難を抱えた障がい者を対象に、幅広く対応します。
思っていることをうまく表現できない方や対応が難しい方にも、じっくりと向き合いながら寄り添う必要があるのです。
個々の状況に合わせたリハビリを行なった結果、その方の日常生活動作が改善し、患者さんやそのご家族の笑顔を見られたときには、理学療法士の仕事をしていてよかったとやりがいを感じられます。
福祉行政機関
福祉行政機関で働く理学療法士は、地域で暮らす高齢者や障がい者が、住み慣れた場所で豊かな生活を送れるよう、相談や情報提供、訪問介助などの支援を行います。
日常生活に対して不安を持っている患者さんや、そのご家族の状況は多様です。
実際の生活を想定した機能訓練や、段差昇降、入浴の動作などを実地で練習する必要があります。
必要に応じて家の中の調査に同行し、患者さんの生活場面に直接伺ってリハビリを行うこともあります。
また、介助者であるご家族などを対象に、より良い介助の方法を伝えるセミナーなどを開催するのも重要な仕事です。
困難を抱えた患者さんやご家族を支え、より良い地域生活へと導く仕事にはやりがいを感じられることでしょう。
理学療法士が大変でやりがいを感じなくなったらやるべきこと
仕事とは常に思うように進むものではなく、ときに困難な日々が続くと不甲斐なさを感じることもあるものです。
多忙な時期が続いたり、リハビリの効果がみられないと感じたりしたときには、理学療法士の仕事を大変、辛いと感じてしまうかもしれません。
理学療法士の仕事にやりがいを感じられなくなったら、自身の今までの患者さんとのエピソードを思い出してみましょう。
理学療法士は医療職のなかでも、特に患者さんと1対1で過ごす時間が長い職種です。
自身が悩みを抱えたときに、逆に患者さんから気持ちが前向きになるような言葉を受けたこともあるのではないでしょうか。
これまでの仕事を振り返ることで初心に帰り、もう少しだけ頑張ってみようと思えるかもしれません。
とはいえ、今の職場でどうしてもやりがいが見つからない場合は、別の職場を探す方法もあります。
理学療法士の職域は病院や施設に限ったものではなく、地域へと活動フィールドを広げることも可能です。
やりがいを感じられ、自身が楽しく働ける領域を見つけてはいかがでしょうか。
理学療法士のやりがいは患者さんの回復やチーム医療が大きい
理学療法士のやりがいで最大のものは、自身の働きが患者さんの回復につながることでしょう。
また、理学療法士の仕事は、医師や看護師、介護士などが一丸となりチーム医療として協力しながら行っていきます。
一緒に患者さんをサポートし、成果を挙げて笑顔になって喜んでもらえたときには、チームで喜びをわかち合え、楽しみややりがいも共有することができます。
一人よりもチームで一丸となって得た成果は、より大きなやりがいにもつながります。
理学療法士のやりがいを知り、自分に合う職業だと感じられたなら、ぜひチャレンジしてみてください。