
栄養士と管理栄養士は、どちらも栄養や食に関わる資格であることは変わりません。
具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
今回は、それぞれの仕事内容や資格を取得する方法、給与の違いについてご紹介します。
栄養士や管理栄養士として人々の健康をサポートする仕事に就きたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
栄養士と管理栄養士の3つの違い
栄養士と管理栄養士の違いについて、なんとなくはわかっているものの、細かく理解しきれていない方もいるのではないでしょうか。
ここでは、以下の3項目に分けてそれぞれの違いを解説します。
- 資格の取得方法
- 仕事内容・就職先
- 年収
違い1.資格の取得方法
まずは資格の取得方法の違いを見ていきましょう。
それぞれの資格取得方法は次の表のとおりです。
栄養士 | 栄養士養成施設を卒業 |
管理栄養士 | 国家資格に合格 |
栄養士と管理栄養士は両方とも国家資格ですが、資格を認定する管轄が異なります。
栄養士は都道府県の知事によって認定され、管理栄養士は厚生労働大臣によって認定されます。
また、栄養士は栄養士養成施設を卒業することでなれますが、管理栄養士は卒業するだけではなれず、国家資格に合格しなければなりません。
それぞれの資格の取得方法を解説します。
栄養士
栄養士になるには、厚生労働大臣が指定・認可する栄養士養成施設に入学し、所定の課程を修了し卒業しなければなりません。
厚生労働大臣が指定・認可している学校には、4年制大学、3年制短期大学・3年制専門学校、2年制短期大学・2年制専門学校があります。
すべて昼間部の学校で、通信教育や夜間部の学校はありません。
大学、短期大学、専門学校など、学校の種類や期間は異なりますが、どの学校を卒業しても同じ栄養士の資格を取得できます。
管理栄養士
管理栄養士資格を取得するには、栄養士の資格を取得後、年に一度実施される国家試験に合格しなければいけません。
栄養士養成施設を卒業することで資格を取得できる栄養士との大きな違いです。
国家試験の受験資格を得るには、4年制の管理栄養士養成施設を卒業するか、栄養士養成施設の修業年数と卒業後の実務経験年数を合計5年以上積んでいるか、どちらかが必要です。
<栄養士養成施設卒業後に必要な実務経験年数>
- 4年制栄養士養成施設……1年以上
- 3年制栄養士養成施設……2年以上
- 2年制栄養士養成施設……3年以上
栄養士と比較すると資格取得の難易度は高いですが、より幅広い仕事を扱えます。
管理栄養士のなり方や、社会人から管理栄養士をめざす方法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
違い2.仕事内容・就職先
栄養士と管理栄養士の基本的な仕事内容と勤務場所の類似点は、以下のとおりです。
<仕事内容>
- 栄養バランスを考えた献立の考案
- 栄養指導、アドバイス
- 必要な食材の調達や調理 など
<勤務場所>
- 病院
- 介護施設
- 学校 など
仕事内容も勤務場所もほぼ同じなので、何が違うのか疑問に思う人もいるかもしれません。
栄養士と管理栄養士の大きな違いは、栄養指導を行う対象者です。
栄養士は比較的健康な人を対象とし、人々が楽しく健康的な食事を摂れるようにサポートするのが仕事です。
一方で、管理栄養士の対象者は健康な人だけとは限らず、介護施設の入居者や治療を受けている患者さんも含みます。
栄養士 | 比較的健康な人 |
管理栄養士 | 比較的健康な人/介護施設の入居者/治療を受けている患者さん など |
患者さんや施設入居者の栄養指導をする場合は、一人ひとりの健康状態に合わせて食事の献立を考える必要があります。
そのため、健康の人への栄養指導よりも細かい部分まで気を遣わなければなりません。
こちらの記事では、管理栄養士におすすめの8つの職場と、勤務場所それぞれの仕事内容を紹介しています。
違い3.年収
次に年収の違いを見ていきましょう。
働く場所によって年収は異なりますが、栄養士の年収は約340万円、管理栄養士の年収は約430万円です。
同等の職場だとしても栄養士と管理栄養士では100万円ほどの差があります。
管理栄養士のほうが年収が高いのは、より専門性が高く、上位資格であるためです。
栄養士 | 約340万円 |
管理栄養士 | 約430万円 |
日本人の平均年収は約443万円であり、管理栄養士だとしても少し低い傾向です。
ただし、年収は地域や職場による差が大きく、勤務先によっても異なるため、あくまで目安として考えましょう。
管理栄養士になると活躍の場が広がる
今回は、栄養士と管理栄養士の違いをご紹介しました。
どちらも人々の健康を栄養面からサポートする仕事ですが、必要な資格や取得方法、栄養指導の対象者、収入などに違いがあることがわかります。
栄養士は主に健康な人を対象に、管理栄養士はさらに治療中の患者さんや食事指導が必要な高齢者なども対象にします。
扱える仕事が違うため、これから栄養士や管理栄養士として働こうと考えている人は、自身のしたい仕事にあった資格を取得しましょう。
より幅広く活躍したい人は、管理栄養士をめざすのがおすすめです。