
管理栄養士をめざす多くの人にとって、気になるのが国家試験の合格率ではないでしょうか。
合格率は年々変動しますが、その推移を知ることで試験の難易度を把握し、対策を立てることができます。
本記事では、2024年の管理栄養士国家試験の合格率と過去の推移について解説します。
また、合格率の高い大学や合格率が低い理由についても触れるので、受験予定の方はぜひ参考にしてください。
目次
2024年の管理栄養士国家試験の合格率
2024年の管理栄養士国家試験の合格率は49.3%でした。
合格基準は200点満点中120点以上です。
合格率は前年比7.3ポイントと大幅に低下する結果となりました。
項目 | データ | 前年比 |
合格率 | 49.3% | 前年比7.3ポイント減 |
受験者数 | 16,329人 | 前年比0.1%減 |
合格者数 | 8,056人 | 前年比12.9%減 |
参考:厚生労働省|第38回管理栄養士国家試験の合格発表
合格率の推移
管理栄養士国家試験の合格率は、例年約50〜60%前後で推移しています。
過去5年間の合格率推移を見ると、2020年が61.9%、2021年が64.2%、2022年が65.1%、2023年が56.6%、2024年は49.3%となっています。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2024年 | 16,329人 | 8,056人 | 49.3% |
2023年 | 16,351人 | 9,254人 | 56.6% |
2022年 | 16,426人 | 10,692人 | 65.1% |
2021年 | 16,019人 | 10,292人 | 64.2% |
2020年 | 15,943人 | 9,874人 | 61.9% |
近年は2年連続で合格率が低下しており、難化傾向にあることが見てとれます。
医師の試験の合格率は92.4%、看護師は87.8%なので、他の医療職と比べても合格率が低いといえるでしょう。
既卒より新卒の合格率が高い
管理栄養士国家試験の合格率を新卒と既卒で比較すると、新卒のほうが合格率が高いことがわかります。
2024年の合格率を見ると、新卒が80.4%であるのに対し、管理栄養士養成課程の既卒は7.8%、栄養士養成課程の既卒は11.1%となっています。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
管理栄養士養成課程(新卒) | 9,087人 | 7,309人 | 80.4% |
管理栄養士養成課程(既卒) | 1,647人 | 128人 | 7.8% |
栄養士養成課程(既卒) | 5,595人 | 619人 | 11.1% |
引用:厚生労働省|第38回管理栄養士国家試験の合格発表
新卒のほうが勉強に集中しやすい環境にあることや、大学で学んだ知識がまだ新しいことが、合格率の差につながっていると推測されます。
一方、既卒者は卒業後に勉強から離れている期間が長いことや、仕事との両立で勉強時間が確保しにくいことが合格率の低さに影響していると考えられるでしょう。
このことから、新卒時の受験が最も合格する可能性があるといえます。
就職してからもチャンスがあると思うと、合格するのが難しくなるので、新卒時に必ず合格するという意気込みで勉強すると良いでしょう。
管理栄養士国家試験の合格率について知っておきたいこと
管理栄養士国家試験の合格率について、合格率の高い大学と、合格率が低い理由を見ていきましょう。
合格率の高い大学
2024年における管理栄養士国家試験は、前年度と比べて難化傾向にあるものの、近年と変わらず合格率100%を維持している大学が複数あります。
合格率100%の大学は以下のとおりです。
所在地 | 大学名・学部・学科 | 受験者数 | |
国立大 | 奈良県 | 奈良女子大生活環境学部食物栄養学科 | 35人 |
公立大 | 千葉県 | 千葉県立保健医療大学健康科学部栄養学科 | 22人 |
公立大 | 神奈川県 | 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科 | 41人 |
公立大 | 京都府 | 京都府立大学生命環境学部食保健学科 | 27人 |
公立大 | 福岡県 | 福岡女子大学国際文理学部食・健康学科 | 34人 |
公立大 | 熊本県 | 熊本県立大学環境共生学部環境共生学科(食健康環境学専攻) | 37人 |
私立大 | 広島県 | 比治山大学健康栄養学部管理栄養学科 | 14人 |
私立大 | 山口県 | 東亜大学医療学部健康栄養学科(管理栄養士専攻) | 11人 |
参考:旺文社教育情報センター|2024年 管理栄養士国家試験結果
詳しい大学別の管理栄養士合格率は、以下の記事を参照してください。
管理栄養士の合格率が低い理由
管理栄養士国家試験は出題科目が多岐にわたり、全体で200問と問題数が多いです。
出題科目は、基礎栄養学、応用栄養学、栄養教育論、臨床栄養学、公衆栄養学、給食経営管理論など幅広い分野におよびます。
以下が管理栄養士国家試験の試験科目です。
ア 社会・環境と健康
イ 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
ウ 食べ物と健康
エ 基礎栄養学
オ 応用栄養学
カ 栄養教育論
キ 臨床栄養学
ク 公衆栄養学
ケ 給食経営管理論
膨大な知識量が求められるため、合格のハードルが高くなっているのです。
管理栄養士の養成施設は昼間部のみで、夜間部や通信課程がありません。
社会人が管理栄養士をめざす場合、仕事を続けながらの通学は難しく、勉強時間の確保が大きな障壁となります。
国家試験に合格して管理栄養士になろう
2024年の管理栄養士国家試験の合格率は49.3%と、前年比で7.3ポイント減少しました。
合格率は2年連続で低下しており、難化傾向にあります。
合格率100%の大学もある一方で、既卒者の合格率の低さが目立ちます。
出題範囲が広く、膨大な知識量が求められることが、合格率の低さに影響していると考えられます。
国家試験の難易度は高いですが、しっかり対策して合格をめざしましょう。