
国家資格である管理栄養士。
実際にどれくらいの給料が稼げるのかが気になる方も多いでしょう。
資格取得のために努力を重ねてきたのだから、多くの給料を得たいと思うのは当然のことです。
この記事では、年齢、経験年数、勤務する地域など、さまざまな角度から管理栄養士の平均年収を解説します。
また、年収をあげる方法についても解説します。
管理栄養士の仕事をめざしている方や転職を希望している方は、ぜひチェックしてみてください。
目次
管理栄養士の平均年収・月収
厚生労働省による賃金構造基本統計調査では、栄養士と管理栄養士の年収が区分されておらず、まとめて「栄養士」として記されています。
両者の年収を合わせた金額で、管理栄養士・栄養士の収入の実態を紹介します。
管理栄養士・栄養士 | 全職種平均 | |
年収 | 約390万円 | 約507万円 |
月給 | 約27万円 | 約35万円 |
賞与 | 約69万円 | 約91万円 |
参照元:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省
令和5年賃金構造基本統計調査によると、管理栄養士・栄養士の平均年収は約390万円、月給は約27万円です。
手取りでは社会保険料や税金が引かれ、年収が約293万~332万円程度、月給が約20万~23万円程度となります。
同年における全職の平均年収は約507万円、平均月給が約35万円です。
月給単位で比べると月々約8万円管理栄養士のほうが低い傾向にあります。
さらに、賞与も全体平均よりやや低い傾向にあるため、年収単位で見るとさらに開きが大きくなります。
ただし、これらはあくまで平均値であるため、後述のとおり年齢や働く場所によって給料・年収は変わってくるでしょう。
管理栄養士と栄養士の給料の比較
勤務先や職場の規模にもよりますが、管理栄養士の年収は、栄養士の約1.2〜1.8倍高くなる傾向にあります。
管理栄養士は国家資格であり、栄養士の上位資格です。
そのため、資格取得の難易度の高さや、それにともなう専門性の高さ、取り扱える業務範囲の広さが給料の高さの理由となっています。
管理栄養士の初任給
月収 | 年収 | 賞与 | |
管理栄養士・栄養士 | 約22万円 | 約283万円 | 約24万円 |
全職種 | 約26万 | 約325万円 | 約19万円 |
令和5年賃金構造基本統計調査によると、管理栄養士・栄養士の勤続年数0年、すなわち就職初年度の月収は約22万円です。
手取りに換算すると17万~19万円程度になります。
また、全職種平均の月収は約26万円、手取りで20万~22万円程度となるため、全職種平均に比べて初任給はやや低い傾向です。
ただし、就職初年度の賞与については全職種平均に比べて高い傾向にあります。
管理栄養士と他の医療職種との比較
管理栄養士と他の医療系職種の平均月収・年収は、以下のとおりです。
月給 | 年収 | 平均年齢 | |
栄養士 | 約27万円 | 約390万円 | 38.3歳 |
医師 | 約110万円 | 約144万円 | 46.1歳 |
歯科医師 | 約70万円 | 約924万円 | 42.5歳 |
薬剤師 | 約42万円 | 約578万円 | 40.3歳 |
保健師 | 約31万円 | 約451万円 | 38.6歳 |
看護師 | 約35万円 | 約508万円 | 41.9歳 |
診療放射線技師 | 約37万円 | 約537万円 | 41.1歳 |
臨床検査技師 | 約35万円 | 約509万円 | 41.3歳 |
理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士 | 約30万円 | 約433万円 | 35.6歳 |
医師や歯科医師、薬剤師などに比べると、管理栄養士含む栄養士の年収は低い傾向にあります。
主な理由は以下のとおりです。
- 夜勤や休日出勤が生じにくいため、手当がつきにくい
- 管理栄養士として診療報酬を見込める業務が制限されており、新たな利益を作りにくい
- 独占資格ではないため業務でポジションを確立しにくい
詳しくは以下のページで紹介しています。
【パターン別】管理栄養士の給料・平均年収
これまで管理栄養士の給料について概観してきましたが、ここからは具体的なパターン別に、給料・平均年収を見ていきましょう。
【男女別】管理栄養士の給料・平均年収
月収 | 年収 | |
男性 | 約31万円 | 約451万円 |
女性 | 約27万円 | 約385万円 |
男女別の管理栄養士・栄養士の平均年収は男性が約451万円、女性が約385万円です。
男性のほうが約70万円高くなっています。
給与取得者全体で見ると、男性の平均年収が約597万円、女性の平均年収が約441万円であり、全体として男性のほうが給与が高い傾向にあります。
ただし、給与所得者全体の男女別の年収差の約160万円と比較すると、管理栄養士は性別による給与の差が少ないといえます。
【就職先の規模別】管理栄養士の給料・平均年収
規模 | 平均年収 | 月給 |
10~99人 | 約375万円 | 約26万円 |
100~999人 | 約385万円 | 約27万円 |
1,000人以上 | 約417万円 | 約29万円 |
職場の規模が大きくなるほど、管理栄養士・栄養士の年収は上がる傾向にあります。
月給単位で見るとその差は大きくないものの、年収で見ると10~99人規模の職場と1,000人以上の規模の職場で約40万円の差があります。
大規模な総合病院や事業所になればなるほど、高収入が期待できるでしょう。
【年齢別】管理栄養士の給料・平均年収
年齢 | 平均年収 |
20~24歳 | 約303万円 |
25~29歳 | 約344万円 |
30~34歳 | 約377万円 |
35~39歳 | 約401万円 |
40~44歳 | 約405万円 |
45~49歳 | 約440万円 |
50~54歳 | 約459万円 |
55~59歳 | 約548万円 |
60~64歳 | 約392万円 |
65~60歳 | 約347万円 |
70歳~ | 約315万円 |
管理栄養士・栄養士の給料は、年齢が上がるほど高くなる傾向です。
24歳以下は年収が300万円代前半ですが、25歳からは340万円代にのぼり、35歳以降は年収が400万円を超えます。
その後、55歳〜59歳にピークを迎え、以降は減少傾向になります。
ただし、年収は経験年数や技術、資格など複数の要因によって決まるため、年齢が高いからといって必ずしも年収が高いわけではない点に注意が必要です。
【経験年数別】管理栄養士の給料・平均年収
経験年数 | 平均年収 |
0年 | 約283万円 |
1~4年 | 約331万円 |
5~9年 | 約359万円 |
10~14年 | 約386万円 |
15年以上 | 約439万円 |
経験年数を重ねるほどに、管理栄養士・栄養士の平均年収は高まる傾向です。
管理栄養士・栄養士になりたての0年目と、経験を積んだ10~14年目の平均年収を比べると、約100万円の開きがあります。
特に15年以上の経験を積むことで、平均年収が飛躍的に上昇します。
【都道府県別】管理栄養士の給料・平均年収
【全国】
都道府県 | 平均年収 |
北海道 | 約353万円 |
青森 | 約278万円 |
岩手 | 約381万円 |
宮城 | 約336万円 |
秋田 | 約352万円 |
山形 | 約342万円 |
福島 | 約416万円 |
茨城 | 約397万円 |
栃木 | 約378万円 |
群馬 | 約390万円 |
埼玉 | 約395万円 |
千葉県 | 約360万円 |
東京都 | 約436万円 |
神奈川県 | 約420万円 |
新潟県 | 約425万円 |
富山県 | 約357万円 |
石川県 | 約375万円 |
福井県 | 約372万円 |
山梨県 | 約395万円 |
長野県 | 約361万円 |
岐阜県 | 約363万円 |
静岡県 | 約390万円 |
愛知県 | 約445万円 |
三重県 | 約394万円 |
滋賀県 | 約341万円 |
京都府 | 約350万円 |
大阪府 | 約419万円 |
兵庫県 | 約370万円 |
奈良県 | 約388万円 |
和歌山県 | 約470万円 |
鳥取県 | 約333万円 |
島根県 | 約383万円 |
岡山県 | 約360万円 |
広島県 | 約386万円 |
山口県 | 約408万円 |
徳島県 | 約308万円 |
香川県 | 約383万円 |
愛媛県 | 約379万円 |
高知県 | 約369万円 |
福岡県 | 約365万円 |
佐賀県 | 約399万円 |
長崎県 | 約425万円 |
熊本県 | 約346万円 |
大分県 | 約421万円 |
宮崎県 | 約391万円 |
鹿児島県 | 約333万円 |
沖縄県 | 約384万円 |
【平均年収の高い都道府県トップ5】
都道府県 | 平均年収 | |
1位 | 和歌山県 | 約470万円 |
2位 | 愛知県 | 約445万円 |
3位 | 東京都 | 約436万円 |
4位 | 長崎県 | 約425万円 |
5位 | 新潟県 | 約425万円 |
【平均年収の低い都道府県トップ5】
都道府県 | 平均年収 | |
1位 | 青森県 | 約278万円 |
2位 | 徳島県 | 約308万円 |
3位 | 鹿児島 | 約333万円 |
4位 | 鳥取県 | 約333万円 |
5位 | 宮城県 | 約336万円 |
管理栄養士・栄養士の平均年収が最も高い都道府県は和歌山県で約470万円、続いて愛知県で約445万円です。
また、最も低い都道府県は青森県で約278万円、続いて徳島県で約308万円です。
最も高い県と最も低い県の差は、約192万円になります。
また、東京都が約436万円、大阪府が約419万円である一方、愛知県は約445万円であるように、大都市であっても平均年収には差が生じていることがわかります。
管理栄養士の給料・年収を上げる方法
管理栄養士として活躍するためには、給料・年収を上げることも重要な関心事の一つでしょう。
ここからは、具体的にどのようにして給料アップをめざすべきか、解説していきます。

資格を取得して専門性を磨く
管理栄養士として経験を積みながら、さらに他の資格を取得して専門性を磨くと、活躍の場が広がり、年収アップにつながります。
例えば、栄養教諭を取得すると学校現場で活躍できますし、公認スポーツ栄養士を取得するとスポーツに関わる栄養の専門家として、アスリートへの栄養・食事指導に従事できます。
他にも、フードコーディネーター、食生活アドバイザー、栄養経営士など、管理栄養士・栄養士の仕事に関わる資格は多いものです。
磨きたい専門性に合わせて資格を取得すれば、市場価値を高められ、平均年収向上に寄与するでしょう。
より好条件の職場へ転職する
せっかく管理栄養士として働くのであれば、より高い給与を得られる職場で活躍したいものです。
ここでは、実際にどのような職場を選ぶべきかを解説します。
規模の大きな職場で働く
先に挙げたように、職場の規模ごとに平均年収は異なります。
数人程度の診療所や事業所で働いているのであれば、総合病院や大規模な企業・介護施設などへ転職することで、年収アップが期待できます。
さらに、組織が大きくなるほど通勤手当や住居手当などの福利厚生が充実している傾向にあるほか、昇給制度が整っているケースが多く、経済的な安心感も得やすくなるでしょう。
正社員として働く
管理栄養士は雇用形態に応じて給料に差が生じます。
パート・アルバイトとして管理栄養士として働く場合、勤務時間や出勤日を柔軟に調整しやすく、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
その一方で、正社員とは求められるスキルや責任範囲も異なることから、双方の年収を比較すると、正社員のほうが年収が高くなりやすくなっています。
また、パート・アルバイトでは賞与が出ないケースも多く、仮に支給されても正社員の賞与には及ばない可能性が高いです。
したがって、高収入をめざすのであれば、正社員採用を進めている職場に転職するのがおすすめです。
公務員として働く
管理栄養士が公務員として働くメリットには、リストラがないということ以外にも、勤続年数に応じて確実に昇給していくことが挙げられます。
仮に20年ほど務めた場合、管理栄養士の平均年収は600万円以上となります。
これは民間企業の平均を大きく上回り、管理栄養士として長く働きたい方にとっては非常に魅力的でしょう。
給料の高い地域で働く
管理栄養士の給料は、地域によっても大きく異なります。
地域別で平均年収を比較すると、最も高いのが愛知県を含む東海地方で、平均約398万円。
最も平均年収が低い地域は、北海道地方で、平均約353万円。
その差は約45万円にもなります。
住む場所を自由に選べるなら、給料の高い地域で働くのも選択肢の一つでしょう。
ただし、当然ながら給与水準の高い地域は家賃や生活費なども高い傾向があり、必ずしも有利とはいえません。
管理栄養士の給料が高い職場で働こう
管理栄養士の給料は、就職先の規模や地域、経験年数などによって異なります。
平均年収を把握しておくことは、給料の高い職場を選ぶのに欠かせません。
せっかく管理栄養士になるのならば、収入の高い場所で働きたいもの。
今回の記事を参考に、ぜひ自分にぴったりな職場を見つけましょう。