
休職して復帰を目指す方にとって、登録販売者の資格が失効することはないのか、更新の手続きは必要か、ブランク期間がどう影響するかといったことが気になるポイントではないでしょうか。
この記事では、登録販売者の資格失効の有無や登録販売者になるための要件、キャリアアップの方法などをわかりやすく解説していきます。
なお、2021年8月1日から、いわゆる「2分の1ルール」が撤廃されています。
「2分の1ルール」とは、店舗の営業時間のうち半分以上、薬剤師または登録販売者を常駐させなければならないとするルールです。
規模の小さな店舗でも3~5人の資格者の確保が必要となり、人材確保やコストの観点から大きな参入障壁となっていました。
2分の1ルールがなくなったことで、今後登録販売者の資格者は不要になるのではないかと不安に思う人もいるでしょう。
2分の1ルール撤廃の詳細は以下の記事で詳しく解説しています。
この記事では、販売登録者の将来性について詳しく解説します。
目次
登録販売者の資格は一度取得すればなくなることはない
登録販売者の資格は、一度取得すれば失効することも剥奪されることもありません。
退職してから研修を受講しなかった場合も資格がなくなることはなく、再び登録販売者として勤務できます。
離職中の更新手続きも必要ありません。
ただし、離職期間が長い場合すぐに店舗管理者にはなれない可能性があります。
登録販売者としてブランクがある場合の注意点
登録販売者の資格自体は失効しないものの、キャリアにブランクがあった場合は注意が必要です。
2015年度の法改正により、今では店舗管理者要件を満たす「正規の登録販売者」として勤務するためには、実務経験が必要となっています。
直近5年間で2年または1,920時間以上の実務経験が必要
現在「正規の登録販売者」として働くには、直近5年間で2年または1,920時間(月80時間×12ヵ月×2年)以上の実務経験が必要です。
2015年度の法改正により、2020年4月以降、このルールが適用されています。
したがって、試験に合格しても実務経験がない場合や、離職して3年以上のブランクがある場合は、すぐに「正規の登録販売者」になれません。
名札にも「登録販売者(研修中)」などと表示する必要があります。
店舗で薬品を販売するには登録販売者が必要です。
「正規の登録販売者」でなければ、一人で薬品販売を担当できません。
未経験でも研修中として始められる
未経験の場合や登録販売者としての職務経験が短い場合は、試験に合格しても「正規の登録販売者」になれません。
その場合は研修中という立場で経験を積み、「正規の登録販売者」になります。
「正規の登録販売者」であれば、店舗管理者として一人で薬品の販売ができるようになります。
そうなれば給与・待遇面で優遇されるだけでなく、転職先探しでも即戦力であることをアピールでき、有利になるでしょう。
登録販売者の将来性やキャリアアップ
販売登録者の活躍の場は、ドラッグストア、調剤薬局、スーパー、コンビニ、ホームセンターなどさまざまな業種に広がっています。
医薬品の販売コーナーを併設する店舗も増えているため、登録販売者の求人ニーズはますます高まることでしょう。
登録販売者が活躍できる新たな場面
店舗管理者になれば、登録販売者が一人で医薬品を販売できます。
店舗管理者として働くには、医薬品販売に関する知識だけではなく、接客スキルや在庫管理業務も必要になります。
ほかにも、レジ打ちなどの通常業務を行わない職場でも活躍する機会が増えるでしょう。
インターネットでの販売
一般用医薬品(第1類医薬品・第2類医薬品・第3類医薬品)は、薬剤師や登録販売者の対応のもとであれば、インターネットでの販売が可能です。
2014年の薬事法および薬剤師法の一部改正により、オンラインでの販売ができるようになりました。
第2類医薬品・第3類医薬品であれば、登録販売者の対応のもとでインターネットでの販売ができます。
使用者の年齢・性別や症状などをメールなどで確認し、服用時の注意点や飲み方を説明のうえ商品を発送する、といった流れです。
なお、第1類医薬品は薬剤師の対応が義務付けられているため、登録販売者は販売できません。
引用元:OTC医薬品協会
コールセンターなど問い合わせ窓口
医薬品をインターネットで販売する会社には、専用の問い合わせ窓口を設置するよう義務付けられています。
問い合わせは医薬品に関する疑問・質問が多くなるため、医薬品に詳しい専門家が対応する必要があります。
セルフメディケーションの推進により多方面で活躍
登録販売者は、国の施策である「セルフメディケーション」を推進する役目を担っています。
「セルフメディケーション」とは、自分自身の健康は自分で管理し、軽度の体調不良は一般用医薬品を利用して自分で手当てするという考え方です。
政府はセルフメディケーションを推進している
国が推進するセルフメディケーションは、健康診断の受診と医薬品の購入をセットにしています。
健康診断によって健康意識を高めるとともに、税制上の優遇をして医療費の削減につなげようとする取り組みです。
セルフメディケーションの目的で個人が薬品を購入する場合、購入費用が所得税控除の対象となります。
しかし、ドラッグストアなどで市販薬を購入するとき、優遇措置の対象となる医薬品がどれなのか、一般消費者が識別するのは容易ではありません。
このようなときに、豊富な知識と経験による「頼れるアドバイザー」として、消費者のニーズや症状を的確に聞き取り、アドバイスできるのが登録販売者です。
今後も柔軟に登録販売者の資格が活用できる
政府が「セルフメディケーション」と同様に推進する「地域包括ケアシステム」においても、登録販売者の需要は高まっていくでしょう。
それ以外にも、例えばインターネット通販ショップは勤務時間や場所に縛られない新たな働き方を提供しています。
具体的には、薬品に関する相談業務やオペレーターなどの業務です。
また、登録販売者の知識と経験を活かせば、小売業界以外の介護施設や整骨院などの施術などにも活躍の場を広げることが可能になります。
登録販売者の資格は法改正があってもなくならない
登録販売者の資格は、法改正後も変わらずずっと保証される資格です。
今後、多方面に活躍の場を広げていくことができる有望な資格であり、新たな働き方での活躍も期待できます。
ただし、登録販売者の資格を利用して働くためには、知識と経験の上乗せが必要となってきます。
日々進化を遂げる医薬品業界の事情をフォローするのはもちろんです。
あわせて、コミュニケーションやカウンセリングなど医薬品以外のスキルもアップする努力を惜しんではなりません。
すでに有資格の方も、今後取得を目指している方も、期待度の高い将来性のある資格であることを認識して、自分のライフプランを検討してみてはいかがでしょうか?