
言語聴覚士は就職の候補にしないほうが良いのでしょうか。
今回の記事では、言語聴覚士はやめたほうが良いと言われる理由を詳細に解説します。
また、言語聴覚士の仕事をやめると決断した人とつらいけど続けると決断した人それぞれの理由も合わせて紹介しています。
言語聴覚士はやめたほうが良いと言われる具体的な理由を知りたい人は、ぜひ本記事を参考にしましょう。
目次
言語聴覚士はやめたほうが良いと言われる理由とは?経験者の本音
なぜ、言語聴覚士はやめたほうが良いと言われるのでしょう。
ここでは、経験者の本音を4つの項目に分けて解説します。
希望した職場で働けない
言語聴覚士の資格を取っても、新卒で必ずしも望んだ職場で働けるわけではありません。
その原因は、ほかのリハビリ職種よりも需要が少ないためです。
厚生労働省が公表している令和2年度の有効求人倍率を参考にしてみると、実際に言語聴覚士はリハビリ職のなかで最も有効求人倍率が低くなっています。
職種 | 有効求人倍率 |
言語聴覚士 | 2.77倍 |
理学療法士 | 3.79倍 |
作業療法士 | 3.59倍 |
有効求人倍率2.77倍は全体と比較して決して低い数値ではありませんが、ほかのリハビリ職よりも職場の選択肢が少なくなってしまうでしょう。
給料が低く昇給しにくい
言語聴覚士の給料は、厚生労働省のデータを参考にすると平均約427万円です。
ほかのリハビリ職や全国平均と比べても同等の金額を得ています。
しかし、同じ医療職である看護師と比べると、平均年収にして72万円も少なくなっています。
また、実際は平均年収の金額を下回る職場もあります。
職種 | 月収 | 年収 |
言語聴覚士 | 約25万円 | 約427万円 |
理学療法士 | 約26万円 | 約427万円 |
作業療法士 | 約25万円 | 約427万円 |
看護師 | 約25万円 | 約499万円 |
全国平均 | 約31万円 | 約433万円 |
「昇給や昇進すれば年収が上がるのでは」という意見もありますが、
- 勤続年数を増やす
- 役職に就く
- 資格を習得する
などの収入を上げる方法を実践しても、月に数千円〜数万円ほどしか給料は上がらないケースも あるようです。
言語聴覚士は、給料が低めで昇給しにくい職種であるといえるでしょう。
残業が多く休みを取りにくい
残業が多く、休日も取得しづらいのも、言語聴覚士はやめたほうが良いと言われる理由の一つです。
休日はシフト制であるため予定が立てづらく、有給休暇、長期休暇などの取得もしにくくなります。
残業に関しては、リハビリ業務による残業や学習会・症例発表などの際のサービス残業もあります。
休日や定時退勤を重要視する人は、言語聴覚士はやめておいたほうが良いかもしれません。
職場の人間関係がつらい
職場の人間関係がつらいため、やめたほうが良いという意見もあります。
もちろん職場により人間関係はそれぞれですが、
- 配属人数が少なく、相談できる人がいない
- ほかの職種に専門性を理解してもらえず、発言しづらく意見もぶつかる
- 患者さんやご家族に理不尽なことを言われる
などがある模様です。
以上のような状況が起こるのは、言語聴覚士の専門性が医療業界や一般の人へ十分理解されていないことが原因であると予想されます。
言語聴覚士の仕事をやめる決断をした人の理由3選
やめたほうが良い理由はわかりましたが、実際にやめると決断した人の理由が気になります。
次に、言語聴覚士をやめると決断した人の理由を3つ紹介します。
仕事にやりがいを感じられなかった
日々の業務にやりがいを見出せず、退職を決断する人もいます。
やりがいを見いだせない原因の一つには、職種の専門性を活かした業務を行えないことがあるでしょう。
これらは前にも触れましたが、言語聴覚士が1997年に誕生した比較的新しい資格 であるため、医療業界や一般の人に職種の専門性が浸透していないためではないかと考えられます。
高齢化が進み言語聴覚士のニーズは高まりますが、実際に現場で専門性を活かした業務を行えないとやりがいを見出しづらいでしょう。
業務や勉強がハードで体調に異常をきたした
やめたほうが良い理由の一つでも紹介しましたが、言語聴覚士は残業が多く1日の拘束時間が長い職種です。
そして、有給休暇や長期休暇も取りにくいと言われています。
また、休暇が取れたり定時に帰宅できたりしても、勉強会や症例発表の準備に追われる場合もあります。
残業が多く休みを取りにくいハードな日々が続くと、体調に異常が生じる人もおり「体調に異常が出る仕事ならやめよう」と決断してしまうでしょう。
ほかにやりたい仕事が見つかった
ほかにやりたい仕事ができた場合は、退職したいと考えるはずです。
ほかにやりたい仕事があれば、目の前の仕事に力を入れられずモチベーションが保ちづらくなります。
「せっかくとった国家資格を続けるべき」と葛藤すると考えられますが、どうしてもほかにやりたい仕事がある場合は退職を決断するのではないでしょうか。
では、言語聴覚士の仕事に向いていないと感じ、退職する人はどのような人なのでしょう。
言語聴覚士に向かない人の詳細を知りたい人は、こちらの記事を参考にしてください。
つらいけど言語聴覚士を続けることを選んだ人の理由4選
やめる決断だけでなく、続ける選択をした人の理由も気になります。
ここでは、言語聴覚士を続ける選択をした人の理由を4つ解説します。
仕事にやりがいを感じて楽しい
言語聴覚士の仕事に、やりがいや楽しさを感じられれば続けられます。
具体的にやりがいや楽しみを感じる場面は、以下のとおりです。
- リハビリにより患者さんやご家族の喜ぶ姿が見られる
- 退院や在宅療養、社会復帰に貢献できる
- 嚥下や言語などで専門性を発揮できる
- 嚥下や言語の勉強が好きだと思える
以上の内容にやりがいや楽しみを見いだせれば、続けられるでしょう。
目的があって仕事に対する熱量がある
言語聴覚士に目的や夢を持っている人は、続けられる場合が多いです。
- 食べることや話すことが好きで、言語や嚥下に障がいのある人を助けたい
- 身内を言語聴覚士に助けてもらい、自分も同じ業界で人の役に立ちたい
- 障がいを持つ児童や精神疾患を持つ人のため、自分も力になりたい
以上の明確な目的や夢がある人は、仕事に熱量をもち続けやすいです。
長く続けられる安心感がある
仕事に安定を求めている人は、言語聴覚士を続けられます。
言語聴覚士は国家資格であり、就職に有利であるため資格取得後に無職となる可能性は低いでしょう。
また、高齢化が進むにつれて言語や嚥下のリハビリの必要性は増し、言語聴覚士の需要は高まると予想されます。
加えて、給料は上がりにくい側面もありますが、下がることはありません。
失業の心配なく安心して働きたい人は、続けやすいでしょう。
社会的な評価を得られる
言語聴覚士の仕事内容は、リハビリにより患者さんの言語・嚥下機能の回復や維持、社会復帰をサポートすることです。
このような人の役に立つ医療関係の仕事は、社会的評価が高いです。
また国家資格であり、雇用が安定しているのも社会的評価が良い理由となるでしょう。
言語聴覚士は大変だけどやりがいも感じられる仕事
今回は、言語聴覚士になるのはやめておいたほうが良いといわれる理由を紹介しました。
言語聴覚士は残業が多く給料が低いなど、やめておいたほうが良いといわれる理由が複数あります。
しかし、リハビリにより患者さんやご家族の喜ぶ姿が見られるやりがいや、雇用や収入が安定しているというメリットもあります。
やめておいたほうが良いといわれる理由を知るのも大切ですが、自分が続けられる理由を見出し、言語聴覚士になる前向きな理由を考えてみましょう。