- MRってどのような仕事をしているの?
- MRとMSって何が違うの?
このような疑問を持っている方のために、MRの仕事内容やMSとの違い、MRが働く場所、就職時に取得しておくと有利な4つの資格などについて説明します。
MRに興味があり将来働きたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
MRとは?仕事内容や就職先
MRは医療情報担当者と呼ばれる仕事です。
まずは、具体的な仕事内容や就職先について紹介します。
MRの仕事内容
MRの仕事内容は、医師や看護師、薬剤師が勤めている病院やクリニックに訪れ、医薬品について説明することです。
説明する内容は以下のとおりです。
- 効果
- 使い方
- 副作用
上記を説明するため、紹介する医薬品について深く知っておかなければなりません。
説明時に質問された際も、的確な答えを返せなければMRとしての役目を果たしているとはいえないでしょう。
そのため、事前に質問されそうな内容を想定して回答を準備したり、過去の説明会で質問された内容を収集したりといった準備も必要です。
また、医療従事者への説明だけでなく、医療現場が求めている医薬品についての情報を持ち帰ることも忘れてはいけません。
「医療現場が必要としている薬は何なのか?」は、製薬会社が欲しい情報です。
MRが現場の情報を持ち帰ることで、新薬の開発や、病院・クリニックで必要とされる医薬品の種類の把握ができ、適切に医薬品を届けられるようになります。
MRの就職先
MRが働く場所は主に以下の2ヵ所です。
- 製薬会社
- CSO(Contract Sales Organization)
製薬会社で働くMRは、自社で開発した薬の説明を行うのが主な仕事です。
一方でCSOは、医薬品販売業務受託機関とも呼ばれ、製薬会社にMRを派遣したり、製薬会社から病院・クリニックへの医薬品の説明を依頼されたりします。
近年は製薬会社で雇用されるMRは減少傾向にあります。
MR認定センターが公表している2021年版MR白書によると、製薬会社が雇用しているMR数は以下のとおりです。
年度 | 2019 | 2020 |
雇用されているMRの数 | 3,212 | 2,954 |
2019年度と2020年度を比較すると、258人減少しています。
一方、CSOで雇用されているMRの人数は、2012年度から2020年度まで4,000人前後で安定しています。
年度 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 |
MR数 | 3,986 | 4,054 | 3,667 | 3,614 | 3,917 | 3,923 |
※一部抜粋
MRとして働く方法
MRとして働く方法について、新卒採用と転職、それぞれに分けて紹介します。
新卒採用
MRとして働くにあたって資格取得や実務経験は不要なため、新卒であっても就職可能です。
ただし、採用してもらうためには、企業で指定された条件を満たす必要があります。
実際の求人情報を例に挙げて説明します。
〇製薬会社(3社)
- 博士後期課程・博士前期課程修了もしくは6年生大学・4年生大学卒業
- 大学卒業
- 大学・大学院卒業
〇CSO(2社)
- 大卒以上・普通自動車免許取得者
- 大卒以上・MR認定資格保有者・普通自動車免許取得者
上記のように、製薬会社、CSOともに、大卒以上の学歴を必須としているケースが多く見られます。
さらに、普通自動車免許取得やMR認定資格保有者といった条件が必要な企業もあります。
希望する企業の求人情報を把握しておき、在学中に条件を満たせるよう準備しておきましょう。
転職
MRへ転職するためには、MRで活かせる資格や経験があると有利です。
おすすめの資格は次項で説明します。
MR認定センターが公表している2021年版MR白書によると、中途採用者の前職(複数回答)は以下のとおりでした。
- 製薬他社のMR 74.3%
- CSOのMR 48.7%
- 特約店関係者 12.4%
- 医療関係者 4.4%
- 他業界 15.9%
一番多かったのは製薬他社のMRで74.3%、次がCSOのMRで48.7%です。
特約店関係者とは、医薬品業界で働いている方を指します。
薬の知識が豊富なため、医師や看護師、薬剤師に医薬品の説明をする役目としては適しています。
他業界からでもMRへの転職は可能ですが、上記の業務経験者以上の強みをアピールできなければ難しいかもしれません。
MRになるためにおすすめな資格
MRになるためにおすすめな資格を4種類紹介します。
- MR認定資格
- 薬学検定
- TOEIC
- 普通自動車免許
順番に説明していきます。
MR認定資格
MR認定資格とは、MR認定センターが実施している、MR認定試験に合格した方だけが認定される資格です。
2020年度にMRとして働いている方のうち97.9%が保有しています。
ほとんどの企業が取得を義務づけており、入社後に取得するケースも多いですが、働く前に取得済であれば就職の際に有利です。
条件を満たせば誰でも受験できますので、挑戦してみるのも良いでしょう。
薬学検定
薬学検定は、薬に対する知識を一定以上持っていると証明できる民間資格です。
国家資格である薬剤師の資格を保有していれば強くアピールできるのですが、薬剤師の資格を取得するには時間とお金がかかります。
薬学検定であれば、受験資格もなく誰でも受験できるので、MRになりたい方で薬の知識を得たい方にはおすすめです。
薬学検定は1~4級まで存在します。
5肢択一の筆記試験を年2回(6月・11月)行っています。
就職試験の際にアピールするためには1級の取得が望ましいでしょう。
TOEIC
国内にてMRとして働くうえで、英語能力はさほど必要ではありません。
しかし、医薬品の説明文書が英語で記述されていることもあり、英語の能力が役立つ機会もあります。
英語能力を測る指標として、国内における企業の多くがTOEICを採用しています。
そのため、英語が得意な方は、他の求職者との差別化としてTOEICを受けてみるのも良いでしょう。
普通自動車免許
MRは病院やクリニックを訪問します。
自動車での移動がメインとなるため、普通自動車免許の保有が必須といえます。
最寄りに駅やバス停がない場合もあるので、公共交通機関での移動は現実的ではありません。
MRになりたいと考えている方は、就職試験を受験する前に自動車免許を取得しておきましょう。
医療に関わるMRと関わりが深い職業
医療に関わるMRと関わりが深い職業を4種類紹介します。
- 薬剤師
- MS(医薬品卸販売担当者)
- CRC(治験コーディネーター)
- CRA(臨床開発モニター)
順番に紹介していきます。
薬剤師
6年制の大学を卒業し、国家試験に合格すると薬剤師免許を取得でき、薬剤師として働けます。
主な仕事は「調剤」です。
医師が処方した薬に間違いがないかチェックし、間違いがあった場合は医師に確認を行います。
薬の調合には間違いが許されないため、正確な作業力と、患者さんに服用方法や副作用について説明するためのコミュニケーション力が必要です。
MS(医薬品卸販売担当者)
MSは製薬会社から医薬品を仕入れ、病院やクリニック、調剤薬局へ販売する仕事です。
MRと混同されやすい職種ですが、MRが自社の医薬品を扱っているのに対し、MSは複数メーカーの医薬品を扱っているのが大きく異なる点です。
自社の医薬品の情報を伝えるMRと比較すると、MSは、医療業界の動向をチェックし情報提供を行う点や、医療機関や調剤薬局に対して価格交渉を行う点なども異なります。
MSとして働くために特別な資格は必要ありません。
しかし、医薬品の販売を行うので、薬に関する知識と、販売を行うための営業力・コミュニケーション能力が必要です。
CRC(治験コーディネーター)
CRCは治験を行う際に関わるさまざまな業種との橋渡しが役目です。
治験には医師・被験者・CRA・看護師・事務局など多種多様な人員が関わります。
スケジュール管理を行ったり、説明文書を作成したりと、治験に関する重要な業務を任されます。
CRA(臨床開発モニター)
CRAは、CRCと同じく治験に関わる職業です。
CRAの仕事内容は治験のモニタリングで、治験が遵守すべきルールに則って行われているかを監視します。
同時に複数の業務を把握できなければCRAの仕事をこなせないので、タスク管理能力が問われる仕事です。
一度に1~3件の治験を担当するのが一般的で、出張が多いのが特徴です。
飛行機や新幹線での長距離移動が苦にならない方が向いています。
MRになるチャンスは誰にでもある
MRは、新卒の大学生も他業界で働いている方も、どちらでも働けるチャンスはあります。
採用率を高めるためには、MRがどのような仕事で、どの資格を保有していれば有利なのか、調べておくことが大事です。
MRの主な就職先は、製薬会社とCSOの2つです。
どちらを選ぶかは、仕事内容を比較しながら決めましょう。