
臨床検査技師を目指すにあたって、国家試験の難易度はどのくらいか、他の資格と比べて難しいのかと疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
この記事では、臨床検査技師の難易度や国家試験の合格率、また、他の医療系国家資格との比較、就職について解説します。
臨床検査技師を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
臨床検査技師国家試験の難易度
臨床検査技師は医療職における国家資格の一つで、医師の指示に従ってさまざまな臨床検査をするスペシャリストです。
主に病院やクリニック、検査センターなどで検査業務をしています。
臨床検査技師の国家試験の合格率や難易度を具体的に見てみましょう。
臨床検査技師国家試験の合格率
臨床検査技師・国家試験の合格率は、新卒者と既卒者によって異なります。
臨床検査技師全体の合格率は、過去3回の試験によると70~80%程度です。
直近3年の合格率の推移を下記の表に全体・新卒・既卒に分けてまとめました。
【直近3年の合格率の推移】
年度 | 全体の合格率 | 新卒者の合格率 | 既卒者の合格率 |
第67回(2021年) | 80.2% | 91.6% | 41.7% |
第66回(2020年) | 71.5% | 83.1% | 21.8% |
第65回(2019年) | 75.2% | 86.5% | 19.4% |
既卒者の合格率に比べて、新卒者の合格率は高いことがわかります。
大学や専門学校では、必須科目の単位が取れない場合、卒業見込みという受験資格を得られません。
そのため、成績が伸びない学生には受験資格が与えられないなど、ふるいにかけられる場合もあるでしょう。
在学中であれば勉強時間を確保しやすい傾向にありますが、卒業してからでは仕事と勉強を両立させなければなりません。
合格率をチェックしたい場合は、それぞれの数字を参考にしてください。
合格率は、難易度を知る参考にはなりますが、個人の頑張りが何よりも大切です。
あくまでも目安程度に留めておきましょう。
臨床検査技師国家試験のレベルとは
臨床検査技師の国家試験を受けるための条件や履修科目、また、臨床検査技師を目指せる大学・専門学校の偏差値を解説します。
臨床検査技師の国試を受けるには
国家試験の受験資格を得るには、主に3つの方法があります。
- 臨床検査技師養成課程のある大学や3年制の短期大学、専門学校で、臨床検査技師に必要な科目を履修する
- 薬学部や獣医学部、理学部または保健衛生学系などの学部や学科で、臨床検査関連科目の単位を取得する
- 医学部医学科や歯学部歯学科を卒業する
臨床検査技師の養成校以外にも、臨床検査関連の単位を取れる薬学部や獣医学部などの学部を卒業した場合でも、受験資格を得られます。
臨床検査技師にキャリアチェンジをしたい場合、他の医療職に従事しているなら近道になる可能性が高いでしょう。
臨床検査関連科目や養成校の詳細などは、厚生労働省が公表している臨床検査技師国家試験の施行を参考にしてください。
臨床検査技師を目指す方法は、以下の記事でも詳しく解説しています。
臨床検査技師を目指す大学の偏差値
臨床検査技師を目指せる大学は、国立か私立によって偏差値の目安は異なりますが、国立大学では偏差値50~60台、私立大学では偏差値40~50台に医療系学部があります。
受験する学校を決める際は偏差値だけではなく、実習内容や国家試験合格率、就職率なども考慮して、総合的に判断するようにしましょう。
臨床検査技師を目指せる大学の偏差値は、以下の記事でも詳しく解説しています。
臨床検査技師の資格を取得するために必要な科目
臨床検査技師の国家試験の試験科目は、次のとおりです。
- 医用工学概論
- 公衆衛生学
- 臨床検査医学総論
- 臨床検査総論
- 病理組織細胞学
- 臨床生理学
- 臨床化学
- 臨床血液学
- 臨床微生物学
- 臨床免疫学
臨床検査技師の国家試験は年に一度、毎年2月に行われ、合格発表は3月下旬です。
回答はマークシート形式で、午前と午後に分けて試験を行います。
2019年に実施された第65回試験では、1問1点の合計199点中、120点以上であれば合格でした。
過去問を解く際は、正解率が6割を超えているかが一つの目安になるでしょう。
臨床検査技師と他の医療職を比較した難易度の違い
臨床検査技師の合格率は前述のとおり、新卒と既卒を含む全体で見ると70~80%程度でした。
他の医療職と比べると、臨床検査技師の難易度はどれくらいなのでしょうか。
他の医療職の国家試験合格率と難易度は、以下の表のとおりです。
【医療職別国家試験合格率と臨床検査技師との難易度の比較】
(※新卒と既卒を含む全体の合格率)
国家試験合格率 | |
看護師 | 90%前後 |
理学療法士・作業療法士 | 80%前後 |
臨床検査技師 | 75~85% |
放射線技師 | 75~85% |
薬剤師 | 60~80% |
臨床検査技師の国家試験合格率は、放射線技師と同程度で、看護師より低く、薬剤師よりも高く出ています。
合格率だけで比較すると、医療職のなかでは中くらいの難易度だと予測できます。
合格率は年度や新卒・既卒によっても異なるので、参考程度に留めておいてください。
臨床検査技師の就職の難易度
臨床検査技師の主な就職先は、病院やクリニック、検査センターなどです。
人手が足りていない医療機関は多くあるため、ある程度の就職先は確保されているといえるでしょう。
医療機器の進歩により、現在はさまざまな検査が自動化されています。
その背景にともない、今後は臨床検査技師の仕事の幅が減るかもしれません。
これからは、臨床検査技師の資格にプラスしてがん細胞を観察する細胞検査士や、超音波を利用して胎児をスクリーニングする超音波検査士の資格を持つなど、専門性の高さが臨床検査技師に求められるでしょう。
転職時はエコーの実務経験を持っていると優遇されるケースがあるため、エコーの実務経験を積んでから転職すると可能性が広がるかもしれません。
臨床検査技師の難しさを知って国家試験の突破を目指そう
臨床検査技師の国家試験は、他の医療職と比べても簡単とはいえませんが、しっかりと対策すれば合格できる可能性は十分にあります。
新卒の場合は勉強時間を確保できる場合が多いため、きちんと勉強すれば合格の可能性は高いでしょう。
卒業後は仕事が忙しかったり疲労がたまったりと、勉強との両立が難しい場合もあります。
国家試験の突破には、強い意志や時間を効率的に使って学ぶ姿勢が求められます。
それぞれの状況によって合格率は異なりますが、個人の努力が何よりも大切です。
しっかりと対策を立てれば、合格の道が開ける職種だといえるでしょう。