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臨床心理士とはどのような仕事?具体的な業務内容や働く場所について

臨床心理士の仕事に興味はあるものの、具体的な仕事内容があまりわからない方もいるかもしれません。

臨床心理士として活躍できる場所は医療現場だけではなく、企業や司法、教育現場など多様化しており、求められる知識や役割なども異 なります。
各職場でどのような仕事があるかを知っていれば、自分の適正に合った職場選びができるでしょう。

本記事では、臨床心理士の働く場所や仕事内容を具体的に紹介します。
ミスマッチを防ぎ、専門職として社会貢献できるよう、臨床心理士を将来視野に入れている方は、ぜひ参考にしてください。

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臨床心理士とはどのような仕事?具体的な業務内容

臨床心理士とはどのような仕事?具体的な業務内容

臨床心理士の仕事を簡単に説明すると、心の問題を抱えている人に対し、専門的な知識や技術を用いて、問題の解決をめざす仕事です。
臨床心理士に求められる専門的な業務は以下になりま す。

臨床心理査定

心理査定とは、心理アセスメントとも呼ばれ、さまざまな手法を用いてクライエント(相談者)の問題を明らかにする業務のことです。
査定は、以下のような方法を用います。

  • 面接
  • 観察
  • 心理テスト

心理アセスメントの目的は、クライエントの現状把握です。
必要な情報を引き出し、クライエントの考え方や行動特性、社会状況などを把握したうえで、必要な支援や介入の方針を判断します。
さまざまな角度から情報を引き出さなくてはなりません。

そのため複数の面接やテストを組み合わせて評価します。
心理テストでは、言動や表情などからアセスメントする手法や一定の条件下で判定する手法などがあります。

臨床心理面接

臨床心理面接は、さまざまな臨床心理学的技法を用いてクライエントの心をサポートする、臨床心理士の中心的な業務です。
心理カウンセリングとも呼ばれます。

臨床心理学的技法には、以下のような種類があります。
実施するのは1つとは限りません。
クライエントの特徴に応じて、組み合わせながら進めていきます。

  • 精神分析
  • 夢分析
  • 遊戯療法
  • クライエント中心療法
  • 集団心理療法
  • 行動療法
  • 箱庭療法
  • 臨床動作法
  • 家族療法
  • 芸術療法
  • 認知行動療法など

クライエントの自己理解や自己肯定が高められるよう、対話を中心に支援していきます。

臨床心理的地域援助

臨床心理的地域援助は、大きく分けて2つの活動が含まれます。

1つはクライエント個人の問題解決のために、クライエントを取り巻くコミュニティ全体に働きかける活動です。

もう1つは、特定のクライエントではなく、地域や学校、職場などに所属する人々が対象になります。
生活の質を向上させる心理教育に関する活動を行います。

手法としては、危機介入や心のケアに関するネットワーク作り、コンサルテーションなど。
狙いは、環境調整によるコミュニティの成長や地域住民の理解の促進です。

事例として、地域の不登校や引きこもりの子どもが集まるフリースペースの設置・支援、発達障害の親子に向けた援助プログラムなどがあります。

調査と研究活動

臨床心理士としての知識や技術的な手法を確実なものにするため、基礎となる臨床心理的調査や研究活動を継続的に行います。

臨床心理士は、5年ごとに資格の再認定を受けなければなりません
その点からもわかるように、常に学び続ける姿勢が求められているのです。

調査や研究では、実践活動の有用性を客観的に評価できます。
個人の問題解決のみならず、類似したケースでの展開や多職種との連携にも実用性を示すことができ、心理職での専門性を向上させることにつながるでしょう。

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臨床心理士が活躍できる働き場所・各職場の仕事内容

臨床心理士が活躍できる働き場所・各職場の仕事内容

臨床心理士が活動する場所は、医療や教育、産業、司法と幅広くあります。
対象となるクライエントを取り巻く環境も異なれば、支援やアプローチもそれぞれです。

ここでは、臨床心理士が活躍できる場所や仕事内容について解説します。

医療・保健

医療・保健分野での主な勤務先は、病院やクリニック、保健所や保健センター、心療内科、精神保健科、老人保健施設などです。

医療現場における臨床心理士の役割は、患者さんやそのご家族への支援を始め、

  • 患者さんの治療意欲や満足度の向上
  • 発達の問題、障害を持つ患者さんへの支援
  • 生活習慣病や先天性疾患の患者さんのご家族への健康教育
  • 緩和ケアを含むガン患者さんやご家族への精神的ケア

などです。

特に精神科や小児科、神経内科への配置が多く、神経難病患者の心理的支援や小児科・NICUでの母親の支援が期待されています。

専門性の高い診療科目ほど、支援する課題の内容も多様化します。
医師や看護師、ソーシャルワーカーなどの他職種と連携しながらチームで支援していかなければなりません。

保健所や保健センターでは、地域住民の健康管理や乳幼児の健康診断などにも関わります。

教育

教育の分野での活動の場は、幼稚園や小学校、中学校、高等学校など各種教育機関などです。
なかでもスクールカウンセラーは文部科学省が推進しており、多くの小学校、中学校、高等学校などに配置されています。

いじめや不登校、学業、進路などについて悩む生徒に対して、保護者や教職員と連携しながら心の支援を行います。
そのなかには、自傷行為を行ったり自殺を考えたりする生徒の支援も含まれます。
生徒の年齢が上がるほど問題も複雑化し、学校だけでなく家庭などの生徒を取り巻く環境にも目を向ける必要があるでしょう。

ご家族や教職員と情報を共有し、必要なときは専門的機関と連携を図ります。

福祉

福祉の分野での活動の場は、児童相談所や療育施設、発達障害支援施設、養護老人ホーム、女性相談センターなどです。

児童相談所や女性相談センターでは、児童虐待やDVなどで心の傷を負った人への支援が必要になります。
話し手が安心して表現できるよう、受容的態度で信頼関係を築かなければなりません。
非言語コミュニケーション(身振り手振り、声のトーンなど)に配慮したり、閉じられた質問・開かれた質問を意図的に使い分けたりなど、 専門的な関係構築のスキルが必要です。

高齢者施設では、主に認知症や気分障害、不安障害などの疾患を抱えている高齢者に対して、心理検査や支援を行っていきます。

そのため、高齢者やそのご家族に対する臨床心理査定の技術や介護保険を含む福祉制度の知識なども日々更新していかなければなりません。

産業・労働

産業・労働の分野では、企業内の相談室や安全保健センター、公立職業安定所(ハローワーク)、障がい者職業センターなどで活動します。

企業での役割は、従業員のメンタルヘルスのサポートです。

職場の悩みを抱えている従業員に対して専門的査定や面接を行ったり、ストレス予防の啓蒙活動に取り組んだりします。

近年ではメンタルヘルス対策を行う中小企業に助成する制度も始まっており、メンタルヘルス対策に力を入れている部門が増えています。
ストレス社会のなか、企業での活躍が期待されているでしょう。

心の問題に向き合う臨床心理士に対して、職場環境の改善に取り組んでいるのが産業カウンセラーです。
産業カウンセラーは社団法人日本産業カウンセラー協会が定めた試験に合格して取得できる資格。
メンタルヘルスの支援の他に、組織診断による職場環境改善の提案や管理職との面談などを行います。
臨床心理士と違い、組織の中の課題と向き合うため、心理学の他に社内環境や雇用などの知識が必要になります。

大学・研究所

大学や研究所では、臨床心理学の研究や臨床心理職の養成を行う他、併設された学生相談室などで学生の心理相談に応じます。
学生一人ひとりに合った心のサポートを行い、これから社会に出ていく学生の人間形成を促します。

学生生活のなかで生じる悩みは、対人関係や学業、健康面などさまざまです。
どんな進路が良いのか分からないなど、進路に関する不安も。

その結果、不登校傾向や進路未決定などの課題が生じるケースもあります。
そこで少しでも学生の気持ちが楽になったり、不安が軽減できるよう、ともに考えたり自己肯定が進んだりするよう働きかけます。

司法・法務・警察

司法分野では、家庭裁判所の他、少年鑑別所や少年院、刑務所などに法務技官として勤務します。
法務技官とは、面接や専門的な検査、調査を行い、非行や犯罪に至った原因を分析し、対象者の更生に向けた指針などを提示する専門職員です。

刑務所など刑事施設では、受刑者の改善指導プログラムやカウンセリングにも携わります。
少年鑑別所では、一般の方からの地域の非行や犯罪防止に関する心理相談にも応じなければなりません。

なお、法務技官として勤務するためには、法務省専門職員(人間科学)矯正心理専門職区分によって採用される必要があります。

ここまで、働く場所別に仕事内容を説明してきました。

臨床心理士はどんな人が向いているのか、詳しく知りたい方は以下の記事がおすすめです。

職場ごとの仕事内容を理解して進むべき道を決めよう

臨床心理士として活躍できる場所は多岐に渡ります。
それぞれの分野の特徴をふまえた専門的な知識はそれぞれ異なりますが、常にアップデートする姿勢は欠かせません。
多職種との連携も多く、高いコミュニケーション能力も求められます。

自身が臨床心理士として、どのように活躍したいのか、どのような倫理観を持って働きたいのかを軸に各分野の仕事内容を理解して、今後の勤務先を考えてみましょう。

臨床心理士の年収について、詳しく知りたい方はこちらの記事を参照ください。 

臨床心理士になるための大学について、詳しく知りたい方はこちらの記事を参照ください。

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執筆者について

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